2024年 4月 20日 (土)

中国ではどんな大事故でも「死者は35人」? 新幹線追突きっかけに「上限説」浮上

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   中国高速鉄道の追突事故をめぐり、「犠牲者数が不自然に少ない」と、波紋が広がっている。乗っていた人の数や負傷者の数からすると、明らかに計算が合わない上、一度は当局も「41人」とした犠牲者数を「35人」と修正した。

   ネット上では、「犠牲者が36人以上になると幹部が更迭されるので、あらかじめ35人だと決められている」というまことしやかな噂すら広まっている。

行方不明者がまだいる?

   事故では、「D3115」号(福建省福州行き)に、「D301」号(同)が追突。D301の先頭4両とD3115の後ろ2両が脱線し、一部は高架から落下した。この乗客数や犠牲者数について、憶測が広がっている。

   鉄道省の王勇平報道官は事故から26時間が経った2011年7月24日深夜になって、

「D301に558人、D3115に1072人が乗っており、事故で35人が死亡、192人が負傷し、132人が病院に搬送された」

と説明している。この会見で、王報道官は記者から

「あなたは新華社通信の取材に対して、犠牲者数は41だと答えている。そして、また35だと言っている」

と発言のぶれを指摘された。しかし、

「把握している数は『35』。41という数字を出したことはない」

とし、「35」という数にこだわったと受け取れる発言をしている。

   さらに、D301の定員は約600人、D3115は約1300人なので、乗車率は8~9割と、かなり高い。これを考慮に入れると、少なくとも脱線した車両には270人が乗っていたとみられる。だが、発表された死亡者数と負傷者数を足しても270人には届かないため、「残りは全員無傷なのか。それはないはずで、行方不明になっているのではないか」といった見方が広がっている。

   事故現場には、現に「家族が行方不明になっている」などと訴える人もいるため、当局に対する不信感は高まる一方だ。

36人になると党の書記が免職?

   そんな中で浮上しているのが、「35人という数は、あらかじめ決められている」という説だ。そのきっかけが、内陸部の重慶市の共産党系ニュースサイトの掲示板に、7月25日、「35人: 中国での人災の死亡者数上限」と題して書き込まれた内容だ。

   書き込みによると、1997年5月の深セン空港での事故、2010年6月の福建省での洪水など、死者が35人以内に収まっている災害を数十件列挙。列挙されている死者数は、おおむね中国メディアの報道と一致している。さらに、掲示板の書き込みでは、

「死者が36人以上になると、市の(共産)党委員会の書記が免職される。したがって、一度(事故が)発生すると、死亡者数は36人を超えないことになっている」

と主張した。

   この説の真偽は不明なままだが、今回の事故の犠牲者は、新華社通信が7月26日未明の時点で、40人から39人に訂正している。また、7月24日の時点で、上海鉄路局の竜京局長ら幹部3人の更迭が決まっている。

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