2024年 5月 1日 (水)

関電など下半期に起債を再開? 電力債発行に期待が高まる

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   電力会社の社債である「電力債」発行の期待が高まっている。東京電力福島第1原発事故以降、原発を持たない沖縄電力を除いて中断しているが、そろそろ東電以外は再開されるのではないかとも見られている。世界同時株安に見舞われる金融市場の中でも、国内社債市場は 平静さを保っており、安定した投資先の動向が注目されている。

   日本の社債市場では、米国のように「ジャンクボン ド」と呼ばれる信用度の低い債券の流通量は多くない。半面、「郵便貯金」のようにほぼ確実に「利子」をもらえる印象もある電力債が^重宝されてきた。

社債市場で電力債は23%占める

   実際、2011年6月末現在で約63兆円の残高がある社債市場のうち、日本原子力発電やJパワーを含めた電力債は14.5兆円で23%を占める。銀行・証券債が15.1兆円で24%。電力債の割合は震災前に25%を超えていたが、償還期を迎えるものがある一方で新たに発行されないため、総量が徐々に減っており、銀行・証券よりやや小さくなった。とはいえ、依然として4分の1近くを占める大きな存在には違いない。特に、東電債の存在感は大きく、1社で全体の7.3%に達する。

   震災後、6月初めにいったんは関西電力や九州電力が主幹事証券会社を指名し、発行再開を探る動きがあった。福島第1原発の廃炉費用に加え、原発事故の賠償負担が重くのししかかる東電は、格付け会社から「投機的」等級に格下げもされており、とても値段がつかず発行は困難だ。しかし、東電の賠償負担に多少協力したとしても関西財界の大御所で、信用力の高い関電なら大丈夫だろう、との見方もあった。

原発再稼働 「時間はかかりながらも不可能ではない」

   ところが、6月2日に「退陣表明」した菅直人首相がすぐさま「居直り」に転換したことに象徴される政局の混乱で、原発賠償の枠組みを定める「原子力損害賠償支援機構法」のお蔵入りまでささやかれた。原発賠償で関電など東電以外の電力会社も負担の重さを量りかねる事態となり、とても再開できる状況ではなく、関電、九電の起債は見送られ、原発を持たない沖縄電力だけは6月17日に100億円を発行した。定期点検中の原発の再稼働と「ストレステスト」をめぐるその後の一連の騒動もマイナス材料になった。

   そんな混乱続きだったが、「支援機構法」が修正を経ながら無事国会に提出され、8月3日に成立した。原発再稼働についてもここへきて 「時間はかかりながらも不可能ではない」との雰囲気になりつつあり、原発を保有することによるリスク度合いがはっきりしてきた。

   電力債の償還は今年度だけで1兆円近くに上る。償還電力債を抱えて安定した投資先を求める投資家にとって「はめ込み先」に苦労しているようで、トヨタ自動車やパナソニックなど信用度の高い社債が買われ値を上げている状況だ。アナリストの中には「投機的格付けの東電はともかく、関電などは今年度下半期に起債を再開する」と希望的観測が出始めている。

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