2024年 4月 26日 (金)

BMW「新ブランド」で参入 プレミアムEV市場、競争激化

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   自動車メーカーの電気自動車(EV)への取り組みが加速している。2013年には各社の電動車両が出揃うことになりそうだ。

   長い歴史と伝統を誇るプレミアムブランドも対応に本腰を入れ始めた。中でも積極的なのがBMWだ。

新しい発想のコンセプトカー

「今、販売されている電気自動車(EV)は内燃エンジンを電気モーターに置き換えただけの妥協案でしかない。BMWは内燃エンジン搭載車に代わる明確な代替案を提示し、その車を市場に提供する」(独BMWのクラウス・ドレーガー開発担当取締役)

   独BMWは2011年7月29日、フランクフルトのメッセ会場で電動車両のブランドとなる「BMWi(ビーエムダブリュー・アイ)」の発表会を開催。2台のコンセプトカーや電動車両専用の車体構造、素材、情報サービスなどを披露し、プレミアムブランドとしての製品とサービスのあり方を示した。

   地球温暖化の防止に向けて自動車メーカー各社はEV開発にしのぎを削り、2013年には世界の主要自動車メーカーのEV(レンジエクステンダー含む)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)などの電動車両が出揃う。その中でBMWユーザーが大衆ブランドのEVに乗り替えることが懸念されている。

   実際にこれまでにも、富裕層が環境性能に優れた大衆車に乗り替えたケースはある。米国のセレブの間でトヨタ自動車のレクサスではなく「プリウス」が人気となったことは、プレミアムブランドを自負する自動車メーカーにも脅威を与えた。

   先進国のEV市場では「ニッサン・リーフ」「ミツビシi―MiEV」「シボレー・ボルト」といった大衆ブランド車に加え、高額な「テスラ・ロードスター」が市場開拓を進めている。とくにプレミアムEVはテスラが一人先を行く状態にある。このテスラのようなEVベンチャーが今後も現れないとは限らず、プレミアムブランドを持つ量産メーカーは危機感を募らせている。

消費者の関心はHVからEVへ

   BMWグループは2000年以降、サスティナビリティ(持続可能性)を企業戦略とした活動を進め、これまで過給器付き直噴エンジンの燃焼効率向上とオートマチックトランスミッション(AT)の多段化、ブレーキエネルギー回生システムとアイドリングストップ機構の採用、ハイブリッド車(HV)開発などにより、燃費性能の大幅な改善とCO2排出量の削減を達成。これがエンジン排気量のダウンサイズにも繋がり、環境面では競合相手のメルセデス・ベンツに対する優位性も保っている。

   それでも先進国を中心とするEV需要は抑えられない。内燃エンジンの燃費とCO2排出量の改善余地はまだまだあるが、消費者の目はHVからEVへと移りはじめた。そこにEVベンチャーのプレミアムブランドが現れ、大衆ブランドのEVも富裕層から評価されている。

   EV市場におけるプレミアムブランドとはどうあるべきかを示すことができなければ、BMWの先進性に対する評価は失われることになる。商品の電動化はCO2削減もあるが、BMWが企業として生き抜くために不可欠な取り組みだ。

   そこでBMWは電動車両を示すサブブランド「i」を新設し、BMWiを電動車両のプレミアムブランドと位置付けた。それは「原材料の調達から生産、リサイクルに至るまでまったくCO2を排出しないことが夢」(ノルベルト・ライトホーファーBMW会長)とするブランドの創造でもある。

自動車業界全体のCO2革命が近づく?

   この戦略の一環として車体構造も一から見直し、モノコックボディーを捨てて電動車両に最適な車体構造を開発した。それはアルミニウムフレームにリチウム電池や電気モーター、サスペンションなどを組み込んだユニット「ドライブ・モジュール」の上に、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製の乗員スペースのユニット「ライフ・モジュール」を載せる構造。上下のユニットをボルト4本と接着剤で接合し、製造過程でのエネルギー消費も抑えてCO2排出量を削減する。

   当然のことながらEVは内燃エンジン搭載車よりも高額となる。BMWはBMWiファミリー第1弾となる2013年発売予定のEV「i3」、スポーツPHV「i8」の価格帯を明らかにしていないが、現在のプレミアムブランドの内燃エンジン搭載車よりも大幅に価格が上回ることは間違いない。

   電動車両の普及は各国政府がどこまで補助金を出すのかが焦点となるが、BMWは明確に他社とは異なる車体構造を採用したBMWiの製品の販売に自信を示す。BMWiがプレミアムブランドとして消費者の憧れを獲得し、富裕層に受け入れられれば、内燃エンジンから電気モーターへの流れだけに止まらない自動車産業全体のCO2排出量削減革命が始まることになる。

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