2024年 4月 27日 (土)

政府のJT株売却、可能性高まる 東京メトロ株はどうなる

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   東日本大震災の復興財源などの必要額が13兆円規模に膨らむ見通しだ。ポスト菅の民主党時期代表戦選は増税が大きな争点になる。

   もうひとつの財源確保策である政府保有資産の処分については、JT、NTT、東京メトロなど各論で思惑が入り乱れている。

増税は9月中に具体策まとめる

   2011~15年の集中復興期間に13兆円が必要とされ、これに基礎年金の国庫負担の不足分(第1次補正予算で「流用」)2.5兆円と、B型肝炎訴訟の和解金0.7兆円も復興費用に加えることになっていて、必要額は計16.2兆円。

   これに対して、子ども手当の見直しなどの歳出削減効果は2兆~3兆円にとどまり、差し引きで最大13兆円が必要。これを、一般の国債と別勘定の「復興国債」を発行して賄い、通常の国債とは別枠で、増税などで返済する――というのが復興財源を巡る大まかな枠組みだ。

   財源は、「埋蔵金がほぼ底をついている」(財務省筋)中で、税金と政府保有資産売却に頼るしかない。

   増税については、政府税制調査会が議論を始めており、政府は2011年9月中に具体策をまとめ、臨時国会に第3次補正予算案とともに関連法案を提出したい考えだ。

   所得税・法人税の「定率増税」が軸になる。所得税は税額に10%上乗せを5年、または5%を10年実施した場合、計7兆円になる。法人税では実効税率5%引き下げ分を実質的に復興財源に回せば5年で4兆円近くになる計算だ。このほか、酒税やたばこ税も俎上に上るが、業界との調整などの時間が足りず、当面は見送りになりそう。一方、消費税は、「社会保障と税の一体改革」で、福祉目的税として増税の方向が打ち出されたことから、政府としては復興財源に入れない考えだ。

   ただし、民主党内に反対論が根強く、民主党の次期代表選の結果に大きく左右されそうだ。

NTT株売却は困難との見方が一般的

   政府保有資産の処分で可能な限り財源を確保しようと言うのは、誰が次の首相でも変わらない。不要不急な土地などを除き、大きいところではNTT、JT、東京メトロなどの株の売却が検討されている。このうちNTT株は政府に株式の3分の1の保有義務があり、重要事項への拒否権を維持するためにも、売却は困難との見方が一般的。

   これに対し、もっとも売却が現実味を帯びるのがJT株だ。現在の国の出資比率は、法律で義務づけられた50%だが、JT法を改正して、NTT株と同様に3分の1に段階的に引き下げようという声が強まっている。これによる売却収入は6000億~1兆円程度が見込まれる。

   東京メトロ株の売却は東京都との関係という難しい問題がある。現在は非上場で、出資比率は国53.4%、東京都46.6%。国が保有分(簿価約1700億円)の売却検討と報じられた7月下旬、東京都は「事前に相談がない」と国土交通省に抗議する騒ぎになった。東京メトロは民間鉄道業者と比べても利益率など優良会社で、株式の市況が回復した暁には、上場すれば時価総額は5000億~6000億円との見方もある。

   ただ、都は都営地下鉄との統合を求めている。統合で経営一体化による効率化、利用者利便向上とともに、都営の累積損失4300億円を片を付けたいという狙いだ。しかし、少しでも多くの売却益を得たい国の思惑とはかみ合わない。都は「(国が売るなら)都が4%購入して過半数を持つ」(猪瀬直樹副知事)と牽制するが、都が過半数を握って赤字を抱えた都営地下鉄と統合することになると思えば、投資家が東京メトロ株を高く買うとは思えず、高値で売却して復興財源に充てようという政府の狙いは空振りに終わりかねない。こうした事情から、東京メトロ株売却の見通しは立っていない。

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