2018年 7月 20日 (金)

金星探査機「あかつき」はあきらめない 次善の観測可能軌道だってある

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   金星探査機「あかつき」は観測軌道に入れないのか――あかつきの試験噴射をめぐる一部報道を受け、インターネット上でこんな不安の声が上がっている。あかつき関係者は、「当初予定の軌道投入は難しくなってきているが、次善の観測可能軌道もある」と説明している。

   「金星観測軌道への投入不可能に」(毎日新聞)、「軌道入り絶望的 金星探査機エンジン大破」(共同通信)――2011年9月14日にあったあかつきの第2回試験噴射の結果、推進力不足が判明したことを受け、こんな見出しの記事がネットに相次ぎ配信された。

主エンジン、トラブルで推進力不足

あかつきを紹介するJAXAのサイト。
あかつきを紹介するJAXAのサイト。

   「えっ、あかつき失敗したの?」「俺たちのあかつきが…」。ネットのツイッターや2ちゃんねるでは、報道されたあかつき関連記事を紹介しつつ、心配する声が相次いだ。

   中には、エンジン故障を含め数々のトラブルを乗り越え地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」を例にあげ、「まだ何とかなるのでは」という希望的観測を示す人もいた。一方、「宇宙のゴミ決定」「税金の無駄」という厳しい指摘もあった。

   宇宙航空研究開発機構(JAXA)広報部にきいてみた。

   話は2段階に分かれる。ひとつ目は、当初計画通り、主エンジンをつかって金星を30時間で1周する軌道へ投入する場合。ふたつ目は、主エンジンが投入に使用できないことが分かった場合、推進力は低い姿勢制御エンジンを使って90日で1周する軌道に入れる。後者の場合、金星との距離も遠くなり、観測できる項目が減ってしまう。

   9月14日にあった主エンジンの試験噴射は、当初計画を想定したものだ。結果は、前回試験と同じく、推進力が予定の8分の1~9分の1しかなかった。これでは当初予定軌道への投入は無理だ。

   原因は究明中だ。修正可能な範囲のトラブルである可能性もあるが、主エンジンが何かの理由で大破していることも考えられる。あかつきは、2010年末にも主エンジンの弁トラブルとみられる故障で軌道入りに失敗している。今回の試験は、弁が故障状態でも噴射が十分可能なように調整して行ったが、うまくいかなかった。

「金星最大の謎」の解明は無理?

   JAXAでは、10月中に主エンジンを使った当初計画が可能かどうかを判断する。広報部では、「(当初計画を)まだあきらめた訳ではないが、難しくなっている」と話している。

   当初計画を断念した場合は、遠い軌道への投入に切り替える。この場合に使う姿勢制御エンジンは、これまでのところ異常はない。

   遠い軌道になると、あかつきの最も重要な目的のひとつだった「金星最大の謎」の解明ができなくなる。金星の自転速度の60倍、毎秒100メートルにもなる「スーパーローテーション」といわれる暴風がなぜ発生するかの観測が不可能になるからだ。

   しかし、金星の硫酸雲ができるまでの物質の動きや、大気の層の構造の観測はできる、としており、「(遠い軌道でも)依然として、金星科学に重要な貢献をすることが可能」と説明している。

   金星周回軌道への投入は、当初計画通りでも遠い軌道の場合でも、2015年11月を予定している。あかつきの開発費は、打ち上げを含め252億円。

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