環太平洋経済連携協定(TPP)に関する民主党プロジェクトチーム(PT)の鉢呂吉雄座長が2011年11月14日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。TPPを推進する立場の鉢呂氏だが、関税撤廃の例外品目の確保や戸別所得補償の拡充を求めるなど、農家への配慮をにじませた。また、自らの発言に端を発した11年9月の経産相辞任劇については、「ジャーナリストに大変恐怖心を持たされた」と恨み節を口にする一幕もあった。「戸別所得補償制度」の拡充を主張記者会見に臨む民主党PTの鉢呂吉雄座長PTでは、「(党内の反対意見を)十分に踏まえた上で、慎重に判断する」ことを政府に求める内容の提言書をとりまとめている。鉢呂氏は、「この種のPTはガス抜きとか結論ありきとか言われるが、公正な感じで民主党の意見として作り上げることに努力してきた」と振り返る一方で、「日本はどちらかと言えば内向きになりがちだが、アジア太平洋地域では、もっと積極的に日本が主導する形で高いレベルの経済連携のルールをつくっていく立場に立てると思っている」とTPP参加への積極姿勢を見せた。その上で、「民主党の中では数少ない、農協の推薦をいだだいている議員のひとり」だという鉢呂氏は、農家保護についても言及。「競争力の劣る農林漁業、第1産品の全面関税撤廃は非常に大きな課題。例外品目を勝ち取るという交渉は、どうしても必要」と、政府に対して、例外品目の確保に向けた交渉に力を尽くすように求めた。その上で、「(TPP)反対という方は、そこで思考停止しているが、関税が下がっていった場合、その内外価格差をどういった風に納税者負担、直接支払い制度に変えるかという具体的な論議を行うべき。具体的な財源について、きちんと方向性を出さなければ農家の皆さんは安心しない。具体的な財源論を踏み込んで行えば、農業者が将来も希望を持ってやれる形を政治として示せると確信している」と、税金で農家の所得補償する「戸別所得補償制度」の拡充に向けて、具体的な財源について議論を行うべきだと主張した。「『死の街』だけが取り上げられた」また、11年9月に福島第1原発の20キロ圏内について「死の街」と表現したことをきっかけに経産相を辞任した時の騒動については、「ジャーナリストに大変恐怖心を持たされた。『ゴーストタウン』と言わずに『死の街』と言っただけであの日の直後のマスメディアは非難一色」「あのときも私は、記者会見で『このような事態に陥らせた経産省の責任の原点に帰って事態を改善させなければならない』と強く強調したが、『死の街』だけが取り上げられた」と振り返ったが、「放射能つけちゃうぞ」などと発言したと報じられた点については触れなかった。
記事に戻る