2024年 4月 29日 (月)

「原発ゼロ」か「脱原発と決別」か 朝日と読売も討論すればいい/田原総一朗さんに聞く(下)

議論続けていけば煮詰まっていく

――田原さんご自身は、原発のあり方について、今後どうすれば良いとお考えですか。例えば、11月の日本経済新聞の世論調査の質問項目では、「増やすべきだ」「現状を維持すべきだ」「減らすべきだ」「すべてなくすべきだ」など6個の選択肢を示しています。このうち、田原さんならどれを選びますか。

田原 何々すべきだ、ということではなく、実際として「減っていく」ことになると思います。前にも言いましたが、少なくとも10年、20年先まで原発新設は無理ですし、原発の「寿命」が来れば止める、ということを続けていけば減っていきます。
   自然エネルギーの開発が将来的に格段に進んで、原発の代替になるようなら代替させればいいし、無理なら原発を含めたほかの選択肢を検討することになるのでしょう。

――田原さんは、現状では原発をめぐる議論が十分になされていないと指摘し、議論の重要性を強調されています。なぜ原発をめぐる議論がなかなか深まっていかないのでしょうか。

田原 新聞やテレビといった既存メディアの責任もあるでしょう。論調が違うメディア、例えば朝日新聞と読売新聞は、社説で自説を主張しっ放しにするのではなく、互いの論説委員同士が直接討論すれば面白い。そういうことをやっていない。
   一方、ツイッターなどのネットでは、「脱原発派」と「推進・必要派」が議論をしており、可能性を感じています。
   議論する中では、かみ合わないやりとりもあるでしょうが、続けていけば煮詰まっていくものです。新聞やテレビも議論を深める努力をするべきだと思います。

<田原総一朗さん プロフィール>

たはら そういちろう 1934年生まれ。早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年からフリーに。「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)などでテレビジャーナリズムの新しい可能性を切り開いたと評されている。98年、「放送批評懇談会35周年記念 城戸又一賞」を受賞。現在、早稲田大学特命教授で、同大学の「大隈塾」塾頭も務める。「激論!クロスファイア」(BS朝日)に出演中。

   著書に「日本の戦争」(小学館)、「日本政治の正体」(朝日新聞出版)など多数。近著に「田原式つい本音を言わせてしまう技術」(幻冬舎)、「なぜ日本は『大東亜戦争』を戦ったのか」(PHP研究所)、「Twitterの神々」(講談社)、「誰も書かなかった日本の戦争」(ポプラ社)などがある。

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