2024年 5月 4日 (土)

奮闘、「定昇維持」が最大の焦点に春闘 経団連、8年ぶりに「凍結」vs連合「譲れない」

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貿易収支が赤字転落、例年以上に混沌

   今春闘は東日本大震災、歴史的な円高、電力不足の懸念、タイの洪水被害、欧州債務危機など、日本経済にとって過去に前例がないほどのリスクを抱えた下で行われる。春闘がスタートした25日は、日本の貿易収支が31年ぶりに赤字に転落したと発表され、震災や円高の影響という厳しい現実を印象付けた。

   経団連が定昇凍結を持ち出したのは、そうした現状への危機感の表れで、「震災や円高で定昇を維持できない企業の経営者が、労働側と交渉しやすくするためだ」(幹部)と解説する。もちろん、経営に余裕のある企業は定昇を維持するとみられ、経団連は「決して定昇をけしからんとか、やめるべきだとは言っていない」という。

   労働側も震災や円高など、企業を取り巻く環境の厳しさは、もちろん認識している。このため連合は今春闘でもベースアップの統一要求を見送っており、自動車、電機など輸出企業を中心に多くの労組がベア要求を見送る方針だ。それだけに定昇維持は労働側にとっては「譲れない一線」であることは言うまでもない。

   今春闘で経団連は、民主党政権の「子ども手当」で家計の貯蓄が増えた事例をもとに、「目先の所得だけを増やしても消費拡大につながらない」とも主張している。これに対して連合側は「貯蓄しようと思っても、できない人がワンサと増えている。ここで歯止めをかけないといけない」(基幹労連)、「定昇の切り込みは断じて許せない。これ以上のデフレを食い止めるためにも賃金カーブ維持分(定昇)は取り切る」(自動車総連)などとボルテージを上げている。今春闘の労使交渉の行方は、例年になく混沌としている。

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