2024年 4月 19日 (金)

「キンドル上陸」でも割高な電子書籍 これなら文庫本読んで古本店に売る?

「先行発売」やバラ売りで紙の本と区別する

   カカクコムは2012年8月28日~9月3日、電子書籍に関するアンケート調査を実施し、5847人から得た回答をもとに結果を公表している。「電子書籍を今後読んでみたいか」との問いには、20代で58.4%、30代も54.5%が「はい」と答えており、関心は高いとみられる。「でも、電車の中で端末を手に電子書籍を読んでいる人はほとんど見かけません」と井上氏。

   理由として考えられるカギが、この調査に出ていた。「不満な点」で最も多かったのが「コンテンツが少ない」で49.4%、続いて「紙の書籍と比べてコンテンツが安くない」が33.5%となっている。これまで「種類が少ないうえ、割高」と感じられていたわけだ。さらに頼みのアマゾンも同じような状態では、とても「黒船」と言えるほどのインパクトは感じないだろう。

   もちろん今後「価格破壊」が進む可能性はある。アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は10月25日付の日本経済新聞朝刊のインタビューで、価格はアマゾン、あるいは出版社が決める2種類の取引形態にすると明かした。そのうえで「電子書籍は当然紙の本より安くなると消費者は期待する。それを前提にどういう流通戦略をとるかは、出版社の経営手腕の見せどころだ」と語った。これに出版業界がどうこたえるか、価格下落が確実に進むかは不透明だ。

   価格調整は複雑な事情が絡み、簡単ではないが、工夫次第で電子書籍の購買層拡大につなげられるかもしれないと井上氏は話す。例えば新刊本を出す際、電子版購入者は紙版の発売より1週間早く読める「先行発売」のようなキャンペーンを打つ、あるいは購入した電子書籍を読み終えたら、販売元が有料で下取りする、といったアイデアだ。アップルの「iTunesストア」が音楽コンテンツを1曲単位で販売するように「雑誌を記事ごとに、書籍も内容によっては『章』ごとにばら売りする、というのもひとつの手かもしれません」。

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