2024年 4月 25日 (木)

投票しない若者、「無関心」と「何も変わらない」に二極化 
学生団体 ivote代表・上中彩慧さんに聞く

   「若者の政治離れ」が指摘されるなか、若者の投票率向上を目指して活動しているのが学生団体「ivote」だ。若者は、なぜ投票に行かないのか。どうしたら、行くようになるのか。代表の上中彩慧さん(20)に聞いた。

――上中さんは議員インターンシップで実際の政治の現場を体験したことをきっかけにivoteで投票率向上に向けた取り組みを始めたそうですね。周りの大学生の選挙に対する意識を、どう見ますか。

上中 「投票に行かない」という人は多いですね。関心はあるという人はいますが、特に今回の選挙では「どこに入れていいか分からない」という声を多く聞きます。それ以外に「全く関心がない」という層もいます。二極化している印象です。

「1票を投じても何も変わらない」

ivote代表の上中彩慧さんは「就活対策や雇用の問題に一番関心がある」と話す
ivote代表の上中彩慧さんは「就活対策や雇用の問題に一番関心がある」と話す

――「関心はあるが投票には行かない、行けない」という層は、何がハードルになっているのでしょう。

上中 やはり、「1票を投じても何も変わらない」、ということだと思います。「諦めが大きい」というのもありますし「どこに入れていいのか分からない」というのもあります。

―― J-CASTのワンクリック投票でも「若者は、なぜ政治に興味がないのだと思いますか?」というテーマで投票を受けつけていますが、多いのは「関心を持ったところで何も変わらないと思うから」「不勉強だから」「若者に関係のある政策が提示されないから」という順番です。

上中 実感と合っていますね。ivoteでは、諦めている層にも訴えたいと思っていますし、「関心を持っているけど分からない」という層にも別のアプローチができればいいと思います。

――具体的には、どのような取り組みを進めているのでしょうか。

上中 「不勉強」「分からない」という層には、自分の考えと、主要政党が掲げている政策とを比較対照できる「ボートマッチ」を作成しました。ボートマッチ自体は様々な団体が公開していますが、ivoteでは、大学教育、若者の雇用といった若者向けの政策に特化しました。

どこに入れていいか分からない若者が多い

「投票に行っても変わらない」という層には、「1票を投じないことには変わりようがないので、まず1票を投じることが大事」という私たちの考えを、ひたすら広めるようにしています。直接会って話すのが効果的だと思っています。

――09年の衆院選では、政権交代の高揚感もあって、若者の投票率も上昇しました。今回の選挙については、どんな感触ですか。

上中 やっぱり意欲は低いと思っています。民主党はダメだったけれども、自民党に入れるかといったらそうでもないし…。そうかといって維新かといったらそうでもないし…。
どこに入れていいか分からない若者が多いのではないでしょうか。でも、そんな中でも、それぞれの政党が掲げている政策を見比べて投票することが大事だと考えています。

――上中さんは、今回の衆院選が選挙権を持ってから初めての選挙ですが、どういう政策に着目して投票したいですか。政策以外の候補者の人柄や、これまでの実績といった判断基準については、どう評価しますか。

ツイッターやフェイスブックを見て判断したい

上中 就活が1年後に迫っているので、就活対策や雇用の問題に一番関心があります。人柄を見ることも大事なのですが、なかなか街頭演説を見る時間がないので、ツイッターやフェイスブックを見て判断しようと思います。

――そこで問題になるのが、選挙期間中のネット利用が解禁されていない、ということです。2010年には与野党の合意までできていたのに、政局の混乱で法案が提出できないままになっています。

上中 延び延びになってしまっていますよね。次の参院選こそは、と思っているんですが…。ネットが閉じられていることも、若者が近づきにくくなっている一因だと思います。

―― 仮にネット利用が解禁された場合、候補者にはどんな風に活用して欲しいですか。

上中 政策をアピールしていただくのはもちろんですが、街頭演説を流して欲しいと思っています。それが流れるだけで、実際に街頭演説が行われた時も「ちょっと見に行ってみよう」と、意識が高まるはずです。ネットの世界はネットの世界だけで完結すると思われがちですが、実際はそんなことはなくて、現実世界と「つなげる」ツールだと思っています。この特性を活かして欲しい。

上中彩慧さん プロフィール
うえなか・さえ 1992年東京都生まれ。学習院大学法学部在籍。大学1年生の時に神奈川県議会議員の事務所でインターンシップを経験、そしてその後、スタッフとして勤務。 1年の秋から加入したivoteで今夏から代表を務める。渋谷のクラブで議員と若者のハロウィンパーティーや女性議員と女子大生で行う「女子会ivote」などを開催。


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