2024年 4月 19日 (金)

震災後初のピアノ発表会を支援【岩手・陸前高田発】

発表会に加え、プロのトランペット奏者による演奏や、全員による合唱も

小林好夫さんの演奏に、子どもたちは「かっこいい!」「もっと聞きたい」「また来てくれるかな」と大興奮でした(ピアノ演奏は田村尚子先生)
小林好夫さんの演奏に、子どもたちは「かっこいい!」「もっと聞きたい」「また来てくれるかな」と大興奮でした(ピアノ演奏は田村尚子先生)

   発表会は3部構成で、第1部は生徒によるピアノの発表会。出演者の家族に加え地域の方々も集まり、総勢100名を超える観客に見守られる中、4歳児から社会人まで、24名の生徒が演奏しました。会場は国道沿いなので、瓦礫運搬のための大型トラックや重機が砂煙をあげながら大きな音を立てて通ります。その騒音にも負けず、生徒たちの奏でる美しい音色は、初秋の空に響き渡りました。


   第2部は、プロのトランペット奏者・小林好夫さんによるコンサートでした。会場の子どもたちは大きく目を見開き、小林さんの迫力ある演奏に聴き入りました。ジブリ・メドレーの最後「さんぽ」には大きな手拍子がおこり、子どもたちはトランペットに合わせ歌い出しました。


   第3部は生徒全員が登場し、ダンスを交えての合唱です。最後は、NHKの東北復興支援ソング「花は咲く」を参加者全員で合唱。観客の多くが、涙を流しながら口ずさんでいました。終了後は惜しみない拍手が続き、参加者全員に配られた色とりどりの風船が一斉に空に放たれると歓声が上がり、閉幕となりました。

参加者全員で大合唱した後、子どもたちは今日まで自分を支えてくれた大切な家族に可愛い花をプレゼントしました
参加者全員で大合唱した後、子どもたちは今日まで自分を
支えてくれた大切な家族に可愛い花をプレゼントしました
「亡くなった4人の生徒だけでなく、ここにいる人はみんな大切な誰かを失っています」と、田村先生。沢山の思いが詰まった風船が、陸前高田の空に舞い上がりました
「亡くなった4人の生徒だけでなく、ここにいる人はみんな大切な誰かを失っています」
と、田村先生。沢山の思いが詰まった風船が、陸前高田の空に舞い上がりました

   発表会終了後、田村先生は感激した様子でこう話してくださいました。「一生忘れられない、とびっきりの発表会を、生徒たちに経験してもらうことができました。今日までのさまざまなご支援とあたたかい応援に、心から感謝申し上げます。私たちの新しい一歩の音は、きっと空にいるみんなのもとへ響いたと思います。」


   また、後日こんなメッセージもいただきました。「何より嬉しいのは、来年の予定について話せるようになったこと。 震災以後、みんな今日を生きるのに精一杯で、将来の夢を語るどころか、少し先の見通しさえも立てられませんでした。けれど発表会の後は、生徒や保護者が『来年はどんな発表会にする?』と、あれこれ笑顔で相談し合うようになりました。みんなのそんな姿を見るたび、発表会を開いて本当に良かったと実感します。」


   壊滅した陸前高田の元市街地を目の当たりにしながらレッスンに通う生徒の皆さんの思いは計り知れません。けれども、大切な人への気持ちを音楽に込めて伝えたいという生徒の皆さんの熱い思いと、保護者、地域の方々が生徒たちの晴れ舞台のためにお互いに協力し合う姿に心を打たれました。私にとっても、忘れ難い一日となりました。

(AAR盛岡事務所 坂 むつみ)


※この活動は、皆さまからのあたたかいご寄付に加え、サンキョー株式会社のご協力を得て実施しました



AAR Japan[難民を助ける会]
1979年、インドシナ難民を支援するために、政治・思想・宗教に偏らない市民団体として日本で設立された国際NGOです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、地震発生当日より活動を開始。宮城県仙台市と岩手県盛岡市に事務所を構え、緊急・復興支援を行っています。
活動にあたっては、特に支援から取り残されがちな障害者や高齢者、在宅避難者、離島の住民などを重点的に支援しています。食料や家電などの物資の配布、炊き出し、医師と看護師による巡回診療など、多面的な活動を続けています。
■ホームページ http://www.aarjapan.gr.jp
■ツイッター  http://twitter.com/aarjapan
■facebook  https://www.facebook.com/aarjapan

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