2024年 4月 20日 (土)

LINE悪用で「未成年に性犯罪被害」報道 掲示板アプリを「出会い系」代わりに

   利用者が急増している無料通話・メッセージアプリ「LINE」を悪用した性犯罪が起きていると報じられた。未成年の少女たちも被害を受けているという。

   利用者が設定できるLINEの「ID」を利用し、非公認の掲示板アプリをまるで「出会い系サイト」のようにして相手を見つけるのだ。インターネット上で純粋に話し相手や友だちを探している人にとっては、とんだ迷惑行為といえる。

18歳未満に「年齢認証」を設ける

18歳未満は「ID」の設定と検索ができなくなる
18歳未満は「ID」の設定と検索ができなくなる

   LINEは初期設定の際、電話番号や交流サイト「フェイスブック」のアカウントの入力が必要となる。一度登録した後は、別途LINE用のIDを設定することが可能だ。LINE上や関連アプリで他の利用者と交流する際に、実名や連絡先といった個人情報を公開せず、匿名性の高いIDを使ってネット上の友だちを増やせるメリットがある。

   だが、この便利な機能を悪用するケースが出てきた。NHKは2012年12月22日、LINEを通じて知り合った人のなかで、未成年を対象とした性犯罪がこれまでに全国7都道府県で14件発生していると伝えた。被害者には小学生も含まれていたという。ニュース映像では、LINEのIDを掲示板に書き込んで友だちを募集したという10代の女性が証言していた。同じ趣味の話ができる利用者を探す目的だったが、投稿した途端に不特定多数の利用者から性的な関係を求める書き込みが相次ぎ、不快な思いをした様子を打ち明けていた。

   LINEの運営会社、NHN Japanはこの報道の前に改善に乗り出している。スマートフォン(スマホ)を販売する大手通信会社のうちKDDIと連携、基本ソフト「アンドロイド」を搭載した端末について18歳未満のID設定と検索ができなくなるようにしたと12月17日に発表した。IDを利用する場合は「年齢認証」の画面が表示されるようになる。スマホ所有者がKDDIとの契約時に登録した生年月日情報を基にしてLINE側で年齢を判別し、年齢認証の際に18歳未満だとID検索機能が停止される仕組みだ。

   そもそもLINEでは利用規約で、見知らぬ異性との出会いを目的とする利用を禁じている。それでもIDを言わば「隠れ蓑」にして不正な方法で知り合った末、トラブルに発展する恐れがあるため今回の措置に踏み切ったようだ。

「ヒマ、誰か絡んで」から「エッチな画像見せるよ」まで

   ただ12月25日時点では、KDDI以外の携帯電話会社が販売するアンドロイドの端末や、「アイフォーン(iPhone)」は規制の対象外となっている。NHN Japanは「今後はKDDI以外の携帯電話会社とも協力して同機能を搭載予定」と範囲を広げるようだが、今のところはっきりした日程は分からない。

   実際にNTTドコモのアンドロイドスマホを使って、LINEの「非公認」掲示板を見てみた。投稿者は男女問わず未成年者が圧倒的だ。多くは「ヒマ、誰か絡んで」と、何気ないやり取りを交わしたいような内容で、最初から性的な書き込みやプロフィル用の顔写真がない相手を断る人も少なくない。

   半面、未成年でも「彼氏ほしい」と交際相手を探す人や、「泊らせてください」「エッチな画像見せるよ」という危うい書き込みも見つかった。20代の年齢設定で、性的な関係を求めるような文面が定期的に何度も投稿されている例も見られた。

   こういった投稿はいたずらの可能性も否定はできない。だが、未成年に対する性犯罪に発展するかもしれない書き込みが、現段階でも完全にストップしていないのは事実だ。LINEの公式ツイッターアカウントでは12月22日、NHKの報道を受けて未成年者のID設定や検索停止に加えて、非公認の外部掲示板に対して「停止要請を行い順次閉鎖させています」と報告した。加えて、各地の学校や団体にNHN Japanの社員が訪問して利用方法の指導も実施していると説明。「皆さんもIDを公開しない、怪しい人がいたら通報・ブロックするなどをお願いします」と呼びかけた。

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