2024年 4月 29日 (月)

高橋洋一の自民党ウォッチ
「手抜き」を見透かされた日銀 次期総裁いっそのこと公募で

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   1月22日(2013年)、政府と日銀は共同声明を出してインフレ目標2%を決めた。これはご存じだろう。しかし、その後の株価はイマイチだ。それは、インフレ目標2%はいいとしても、実際に日銀が決めた金融政策では目標達成のためには力不足となっているのが、市場から見透かされ円高になっているからだ。若干テクニカルだが、詳細はダイアモンド・オンラインの筆者の論考をみていただきたい。一言で言えば、政府日銀の共同声明でのインフレ目標2%の達成には、日銀が決めた金融緩和ではほど遠いのだ。

   これはサラリーマン社会でよくある話だ。まず政府と日銀の関係を整理しておこう。簡単にいえば、政府が親会社、日銀は子会社だ。親会社の社長が安倍首相、親会社で子会社担当役員が麻生財務相、その配下で子会社関連業務部署が財務省、子会社の社長が白川総裁だ。

黙り決め込む財務省

   親会社で新社長になった安倍首相は、子会社の日銀改革に熱心だ。子会社でこれまで目標がなかったのが驚くべきことだったが、国際標準の目標導入で世論の支持を得ている。ところが、これまで目標なしのぬるま湯に慣れ親しんだ白川総裁は目標導入に反対していたが、親会社の意向に渋々従った。面従腹背を決め込んだのだ。

   あと2か月余の任期なのだから、意地を見せて辞任するという手もあったはずだが、そこはサラリーマンでいわれた目標の導入には表面的には従う。しかし、やはり本音では目標導入に反対なので、実際の業務では、これまでと同じで手抜きだ。もう4年10か月も同じ方法でやってきたので、今さら変われというほうが無理なのだろう。

   政府内で子会社である日銀を監督すべき財務省は、実は次期子会社の社長である次期日銀総裁ポストを狙っている。ここで残り任期の少ない白川総裁に妙に頑張られても次期社長の裁量が少なくなるので得策でないと黙りを決め込んでいる。

イングランド銀行の次期総裁は公募で外国人

   もちろん安倍首相は知っている。そこで、22日の決定を画期的だと評価したが、「第一歩だ」と釘を刺すことも忘れなかった。内心は白川総裁が早く辞めてくれればと思っているが、露骨な手抜きを知りつつも、解雇はできないというのが今の仕組みだ。そこで、次期日銀総裁が決定的に重要な局面だ。22日の日銀政策決定会合を全面的に書き換えられるような人物が必要だ。

   世間ではいろいろと名前が出ているが、いっそのこと公募で選んだほうがスッキリする。イングランド銀行の次期総裁は公募で外国人が選ばれた。中央銀行総裁は専門職なので、外国人であっても実績を示せる人であれば誰でもいい。サッカー日本代表チームの監督などプロスポーツのような実力社会なら当然だ。

   安倍首相は自民党時代に公募で国会議員候補者を選んださきがけだ。日銀総裁を公募で選ぶという選択肢はないわけでない。

   新しい酒は、新しい革袋に盛るべきだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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