2024年 4月 20日 (土)

ローマ教皇?法王?どっちが正しい 教会は「教皇と呼んでください!」

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   「あれ、ローマ『法王』と『教皇』って、どっちが正しいんだっけ?」――2013年3月13日、アルゼンチン出身のホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(76)が就任するニュースを聞いて、そんな疑問を持った人は少なくないはずだ。

   さっそく確かめてみると、政府機関や報道はいずれも「法王」を使っている。ところがカトリック教会では、「教皇という名称を使ってください」と呼びかけている。いったいどういうことなのか。

政府・新聞・テレビは原則「法王」

東京・千代田区の「ローマ法王庁大使館」。日本政府は原則「法王」を使用している
東京・千代田区の「ローマ法王庁大使館」。日本政府は原則「法王」を使用している

   まず日本政府だが、こちらは1942年の外交関係樹立以来、一貫して「法王」を採用している。たとえば2013年2月12日、安倍晋三首相は退位を発表したベネディクト16世にメッセージを送っているが、ここでは「ローマ法王ベネディクト16世台下」との表記だ。東京・千代田区にあるバチカンの大使館にも、「ローマ法王庁大使館」との表札がかかる。

   主要マスコミも、大半が法王派だ。新聞各紙を始め、NHK・在京キー局などはいずれも法王と呼んでいる。固有名詞を引用する際などには「教皇」と書く例もあるようだが、基本的には法王一色と言っていい。

   しかし、日本のカトリック教会を統括する宗教法人カトリック中央協議会は、強硬に「教皇」が正しいと主張する。協議会のウェブサイトには、わざわざそのことを説明するためのページが設けられている。

   これによれば協議会では1981年、ヨハネ・パウロ2世の来日にあわせ、これまで混乱していた表記を「教皇」に統一することに正式に決めた。

「『教える』という字のほうが、教皇の職務をよく表わすから」

というのがその理由だ。

   そこで、外務省にも呼び方を変えてもらうよう申し入れたのだが、「日本政府に登録した国名は、実際に政変が起きて国名が変わるなどしない限り、変更できない」という理由で断られてしまった。マスコミ各社にもたびたび教皇使用を依頼したが、こちらも実現しなかったという。

「こうしていまでも『法王』と『教皇』が混用されているのです。皆様には、『教皇』を使っていただくよう、お願いする次第です」(協議会ウェブページより)

   ただし協議会の活動の甲斐あってか「教皇」もかなり一般化し、たとえば高校世界史教科書は現在、ほぼすべてが教皇を採用している。

正式表記は凄く長い

   いっそ国も、そろそろ教皇にしていいのでは? 外務省に尋ねてみたが、

「どちらも日本語としては一般的に使われていますし、こちらとしてはずっと公式に使ってきたものなので……」

と煮え切らない。なおネットなどでは教皇の「皇」の字が「天皇」に通じるため遠慮して法王を使っているのでは、という説もあるが、外務省では「初耳。スペインなど、王制の国の王位継承者を『皇太子』と呼んでいるぐらいですから、勘違いでは」。

   ちなみに教皇にしても法王にしても、日本などでしか使われていない一種の「意訳」だ。正式には、以下のような長い肩書きを名乗っている。

「ローマの司教、イエス・キリストの代理者、使徒たちのかしらの後継者、普遍教会の最高司教、イタリア首座司教、ローマ管区首都大司教、バチカン市国元首、神のしもべたちのしもべ」

   一般には父を意味する「パパ(Papa)」と呼ばれ、日本でも戦国~江戸初期には、神父を「パードレ」と呼んだ要領で、西洋式に「パアパ(パッパ)」としていた(どちりな・きりしたんなど)。江戸中期の儒学者・新井白石が「教化之主」(本来は釈迦など高僧の意)と記した例もある。それと比べれば、教皇も法王も比較的新しい呼び方のようだ。

教皇or法王、あなたはどう呼ぶ?
教皇
法王
パパ
どちらでもいい
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