2024年 4月 19日 (金)

東急東横線渋谷駅「最後の日」、別れ惜しむ人々で大混雑 「鉄道ファン」ほか一般人も撮りまくり

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「通路は立ち止まらずお進みください!」「降車ホームでの撮影は禁止です!」

   東急東横線・渋谷駅で駅員らが声を張る。2013年3月15日、この日をもって役目を終える駅舎には、最後の姿を見ようと多くの人が詰め掛け、通勤ラッシュをはるかに上回る大混雑となった。

「通路開けてください!お客様通してください!」

カメラを掲げるファンでごった返す東横線渋谷駅構内
カメラを掲げるファンでごった返す東横線渋谷駅構内

   現在の東急東横線の渋谷駅は15日深夜1時前、上りの最終電車の到着を待って営業を終了する。地下鉄・副都心線と直結させるためで、16日5時の始発からは、地下5階の新しい渋谷駅に移る。線路が地下にもぐり、新しいプラットホームでの運用となる。

   15日夕方、記者が東横線渋谷駅正面改札に足を運ぶと、デジタル一眼レフカメラにズームレンズを備えた重装備の「撮り鉄」とみられるファンが多く集まり、駅は通勤ラッシュをはるかに上回る混雑具合になっていた。

   電車が入ってくるたびにカメラを誰よりも高く掲げ、「最後の勇姿」をおさめようと夢中なファンらに、

「通路開けてください!お客様通してください!」「写真撮られる方ははみ出さないでください!」

と、普段よりもかなり多く配置された駅員・警備員らがほとんど悲鳴のような声で繰りかえしていた。

   「みなさん写真撮ってますけど、今日何かあるんですか?」―――人を掻き分け電車に座ると、東京に出てきたばかりという女性に、関西弁まじりにこう問いかけられた。とくに撮影しにきた風でもない普通の人も、やはり一度は立ち止まって携帯のカメラをかまえるなどしていて、構内の様子は事情を知らない人にとっては「異常」に映ったようだ。

   ただ、撮影していたファンのマナーが極度に悪かったかといえばそうではない。

   東横線では2004年、桜木町駅廃止の際にマナーの悪い「葬式鉄」が話題になり、今回の営業終了に際しても同じ事態が起こるのではと危惧されていた。

   東急電鉄では2013年3月14日、「駅構内や電車を撮影する際のお願い」をホームページに掲載、「フラッシュ使用、立入禁止区域での撮影等、列車運行に影響をおよぼす行為について禁止します。三脚および脚立等の使用しての撮影は禁止します」と呼びかけていたが、記者が見た限りでは、少なくともこうしたルールは守られていたようだった。

ビルの非常階段に登り撮影するファンも

ホームと並行する歩道橋にも人だかり
ホームと並行する歩道橋にも人だかり

   東横線が代官山~渋谷間で地上を走るのも今日が最後ということで、地上を走る姿を見ようと駅舎以外にも人は集まった。たとえば、東横線のホームと並行に設置されている渋谷駅東口の歩道橋は、ホームに入ってくる電車を写真におさめようとする人々で平日の昼間から渋滞した。また、代官山~渋谷間の車窓からは、線路沿いの歩道橋やビルの非常階段に、カメラを構えた人の姿が数多く見えた。

   切り替えに伴い廃止される日比谷線直通の車両を捕らえるべく、中目黒、自由が丘など渋谷以外の駅にもカメラを持った人が待機していた。「見てくださいこれ」と、今後貴重になるであろう自慢の写真を楽しそうに見せ合うファンらの姿もホームでは見られた。

   東横線渋谷駅は横浜方面への始発、終着駅として、1日約42万人もの人々が乗降する。1928年の開業当初はプラットホーム一つだったが、64年に現在の4ホームになった。同じころ、かまぼこ形の屋根が連なった今の駅舎も完成した。

   渋谷駅では、鉄道ファンだけでなく、一般の人が携帯などをつかって、電車や駅舎、そして駅舎と共に役目を終える電光掲示板、路線図を写真におさめようとする姿も目に付いた。50年弱の間親しまれたホームだけに、別れを惜しむ人も老若男女さまざまだ。

   渋谷駅の最後を見にやってきた東横線沿線に住む80代前半の女性は、構内にひるがえる「開業85周年ありがとう」の旗を見て、「(地上の駅舎は)生まれたときからあったんだものね」とぽつり。

   駅の引越しは16日未明、3時間半ほどの突貫作業で行われ、利用者それぞれの思い出のつまった旧駅舎は2013年3月26日から5月6日まで、イベントスペースとして利用される。

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