2024年 4月 25日 (木)

日本ハム大谷が初勝利 本格「二刀流」への第一関門突破

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   日本ハムの大谷翔平が投手としてついに初勝利を挙げた。2013年6月2日、地元札幌での中日戦だった。「二刀流」で注目を集めているが、打撃の良さは既に証明済み。この勝利で新人王への期待が一気に高まった。

「ご意見番」は投手専念を勧めるが……

   大谷のピッチング内容は、先発で5回を投げ、打者22人に対し被安打4、奪三振3、自責点3。打線の強力な援護が勝利に結びついた格好だが、3点に抑えたのは18歳の高卒ルーキーということを考えれば立派である。

   「精いっぱい投げ、5回を投げきることができた」と目標のイニングをクリアしたことを喜んだ大谷。その投球スタイルは「迷ったら速球」で、関門の5回は「行けるところまで速球で」と力勝負に出た。

   外野席は「立派」と認めながらもいろいろな声が上がる。その代表ともいえるのが登板翌朝のTBS「サンデーモーニング」に出演した専門家の意見だった。

   張本勲氏は「150km/hの速球を投げる投手はなかなかいない。ぜひ投手に専念してもらいたい」と持論を展開。「すごい投手になれる」とも付け加えた。

   ゲスト出演の「大魔神」こと佐々木主浩氏は「3年後、5年後を考えた方がいい」と将来に向けてのアドバイスを語った。「正直言って、速球は抜けていた。プロの球ではない。高校時代の財産で投げているといっていい。投手としての練習を本格的にしておかないと、将来が厳しくなる」と。

   両氏とも、「類い希なる素質を持っている」ゆえの言葉で重みがある。

   対戦した中日の選手は「速球は確かに力がある」と認めながらも「変化球のコントロールはまだまだ」と甘さを指摘する。また「下半身に粘りがない」といい「だから力を込めて投げるとシュート回転して痛い目に遭うだろう」との声も。

   大谷ファンからすれば、そんな投手に抑えられたプロのベテランは何なんだ、と言いたいところだろう。なにしろ速球で名だたるプロの先輩打者から三振を奪い、勝ち星を手にしたのだから大したものである。

   忘れてはならないのは力勝負を挑んでいることだ。いまのプロ野球は落ちる球の全盛で、それを投げなければ投手にあらず、といった感じさえする。そんな時代にあって、速球勝負は魅力十分ではないか。

   この初勝利は二刀流に挑戦した成果を証明したもので、日本ハムの戦略を認めざるをえない。当然、今後の進むべき道は考えているはず。すくなくとも大谷は、かつて巨人の柴田勲氏が本格的スイッチヒッターに挑戦して成功、球界を変えたのと同じく、ファンに「新しい選手の形」を示したといえる。

   「新人王」の候補に名乗りを挙げたことも初勝利の副産物である。打者としては3割をマークしており、現時点では文句のつけようがない。おそらくオールスター戦のファン投票ではパ・リーグ外野手部門の1位で選ばれるだろう。ライバルの阪神・藤浪晋太郎はセ・リーグの投手1位で選出されると思う。二人の対決が球宴の「最大の売り物」となる。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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