2024年 4月 28日 (日)

高橋洋一の自民党ウォッチ
サザエさん一家、「重税」逃れて海外へ? 「桜新町の銅像」課税にみる日本の特殊性

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現実には課税「役人」主義

   この事件を深く見るために、二つの点を考えてみよう。まず第一は、課税にはかなりの裁量があることだ。調布にも「ゲゲゲの鬼太郎」をはじめとした妖怪達のモニュメントがある。これらの所有も地方自治体でないが、課税されていない。事業用資産の解釈の違いらしい。いい悪いは別として、憲法第84条をはじめとする課税法律主義というのは建前で、現実には課税「役人」主義になっている。上記の東京都ホームページを見ると、ほとんどの会社の備品にも固定資産税が建前上はかかるとわかってビックリするが、是非とも穏便な方法で済まして欲しいと思うだろう。

   もう一つは、そもそも償却資産に対する固定資産税は妥当かという法律論だ。もちろん現在の地方税法では、償却資産への固定資産税が明記されている。それが本当にいいことかという話だ。

   実は、償却資産への課税は、海外ではあまり例のない税制である。償却資産に対する固定資産税は、企業や個人事業主の設備投資に係る課税であるが、設備投資により生み出される所得についても課税が行われていることから、二重課税になる。このため、海外での課税例があまりないのだ。特に、地方では既に法人事業税が課されているからなおさらだ。

   政府は成長戦略で設備投資減税をしようとして、秋には法案も提出するという。その一方で、地方で償却資産に対する固定資産税を継続させるのはちぐはぐな政策だ。地方分権の立場からは、償却資産の固定資産税を廃止して、地方へは減収補填として、国税の一部を地方譲渡すべきである。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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