高橋洋一の自民党ウォッチ
IMF「日本の消費税15%が必要」報告 実はこれ財務省の息がかかった数字なのだ

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   IMF(国際通貨基金)が日本経済について「予定通り消費税率を10%まで引き上げる増税を実施すべき。景気への影響は無い」とするレポートを発表した、という報道がある。さらに、消費税率を15%へ引き上げるべきとも書かれている。

   この報道を読むと、消費税増税も仕方ないのかなと思う人が多いだろう。IMFといえば、有名な国際機関で、英語で書かれたものに弱い日本人は多い。

日本はIMFへの第2位出資国、副専務理事も確保

   そのレポートとは、8月5日(2013年)に発表された日本経済の分析や政策提言をまとめた年次審査報告書である。IMFの本拠地であるワシントンで公表されたものだ。

   IMFのこうした報告書の作成は、各国政府との協議を経て行われる。筆者も役人時代には、IMFの他にも国際機関が日本に関する報告書を作成するときに、協議に加わったことがある。その場合、国際機関の報告書という体裁をとっているものの、実質的には日本政府の主張である。よくいえば、日本政府と国際機関の共同作業である。いずれにしても、日本政府の意向に反するものが書かれることはまずない。

   IMFについていえば、日本は第2位の出資国である。いうなれば大株主である日本政府を無視できるはずがない。さらに、日本は大株主の力を背景にして、IMFのナンバー2である4人いる副専務理事ポストの一つを確保している。このポストは歴代財務省財務官の天下りポストだ。そのほかにも、日本はIMFの理事ポストも持っており、これも財務省からの出向者だ。理事を支えるスタッフとして理事室があるが、その職員も財務省からの出向者が多くいる。

消費税12~16%まで引き上げか

   消費税率15%は財務省の意図でもある。東日本大震災直後に、不謹慎にもホップ、ステップ、ジャンプ増税計画がいわれていた。震災増税がホップ、社会保障増税がステップ、そして財政再建増税がジャンプだ。今、とうとうステップの直前まで来ている。ちなみに、民主党野田政権の時に、消費税増税を織り込んだ中期財政試算では、10%まで消費税増税しても2023年度においてもプライマリーバランス対GDP比は、▲0.9~▲2.7%である。この赤字を解消するためには、消費税増税を2~6%しなければいけないというのが、財務省の意向である。つまり消費税率は12~16%まで引き上げるということだ。

   政府は8月8日、中期財政計画を閣議了解したが、安倍政権での中期財政試算の詳細なものはまだ公表されていない。漏れ聞く話によると、10%まで消費税増税を織り込んだとしても、まだプライマリーバランス赤字が残るという。どうも、野田政権の中期財政試算とあまり大差はないようだ。アベノミクスの効果が出ているにもかかわらずである。一つのポイントは、安倍政権でも名目成長3%、実質成長2%と野田政権とほぼ同じなのだ。これは、インフレ目標が2%になったことと整合的でない。インフレ目標は消費者物価であるが、名目成長と実質成長の差はGDPデフレータで両者は違うと、財務省筋は必死で反論するが、マイルドインフレ下で両者はほぼ同じである。

   IMFの年次審査報告書は財務省の息がかかっているとしても、IMF本体の理事会では、数名の理事が消費税増税が成長に悪影響があるかもしれないとの懸念を表明している。これは、IMFが各国に緊縮財政を求めすぎたことへの反省でもある。ただし、こうした報道はあまりない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。


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