2024年 4月 28日 (日)

生保各社の運用計画、国債に回帰 長期金利安定で市場が落ち着く

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   生命保険各社が発表した2013年度下半期(10月~2014年3月)の運用計画は、軒並み日本国債を中心するものになった。

   日銀の「異次元緩和」が導入され、金利が乱高下した4月以降、生保各社は外債シフトを検討したが、市場取引が落ち着きを取り戻した日本国債を重視する運用に回帰する。

日本国債のメインプレーヤー

   国内生保各社は戦後、保険好きな国民性を背景に、日本中から保険料をかき集めた。集めた資金は国内外の株や債券(国債や社債)、不動産などで運用するが、大規模で影響力が大きいため、バブル期に「ザ・セイホ」と世界の金融界にその名を轟かせた。バブル崩壊後に経営悪化した生保が続出して以降、政府が安定運用を求めているため、株や不動産への投資は減っているが、債券、とりわけ日本国債についてはメインプレーヤーであり続けている。

   日銀の資金循環統計(6月末現在)によると、国債の保有者比率でトップは「保険」で19.5%(189兆円)。「ゆうちょ銀行など」(17.4%)や「日銀」(15.4%)、「国内銀行」(14.2%)を抑えて堂々の首位だ。利益確定を急ぐメガバンクなどはこのところ国債売りを強めており、「国内銀行」は6月末時点で前年比14.2%も保有残高を減らした。

   「保険」は増加ペースは鈍っているものの、6月末時点の残高を前年比5.3%増やしており、やはり存在感は大きい。特に満期が10年超の「超長期債」と呼ばれる分野は生保の独壇場となっている。

為替リスクがないので日本国債

   そんな生保各社にとって異次元緩和は衝撃だった。何しろ長期金利(10年物の新規発行国債の利回り)が過去最低水準にあるなかで、日銀が満期までの期間、全種類の国債を大規模に買いまくるというのだから、「どんだけ利回りが下がるのか」ということになる。

   生命保険は消費者との契約期間が20~30年の長期に及ぶ商品のため、運用先の国債も満期を迎える前に短期的に売り買いするのではなく、期間が長いものを満期まで保有して利回りを稼ぐパターンが多い。そのため、特に超長期債の利回りが低下することは経営を直撃してしまうのだ。

   また、国債市場が異次元緩和に驚いたため4月5日、長期金利が過去最低の0.315%をつけた後、同じ日のうちに0.620%にまで急上昇するという乱高下を演じた。「投資リスクが大きい」と判断した生保各社は4月下旬、より利回りの稼げる米国債などの投資を拡大する計画を公表した。

   ただ、日銀が国債を買う回数を増やすなど市場参加者との対話を踏まえた工夫を重ねた結果、今夏以降、長期金利の動きは安定してきた。「利回りは依然として低い水準にはあるが、外債には日本国債にない為替リスクがあることを勘案すれば日本国債がいい」(大手生保幹部)との判断に傾いたわけだ。

   この結果、下期の運用では、日本生命▽明治安田生命▽住友生命▽富国生命▽三井生命▽朝日生命の6社が国債運用を増やす計画を公表した。ただ、足元の長期金利は一時0.6%を割り込むなど低下傾向を強めており、「金利水準がさらに下がってそれが長引けば外債を増やす可能性もある」(別の大手生保幹部)との声がある。

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