ジャイアンにのび太殴られるシーンは「いじめ助長」 台湾団体が「ドラえもん」に「異議あり」

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   アジアを中心に世界中で人気のアニメ「ドラえもん」では、ジャイアンがのび太を殴ったりするのは、定番のシーンだと言ってもよい。だが、そこに台湾の団体から「いじめを助長する」などとクレームがついた。長期的にみて、子どもの成長に悪影響を与えるというのだ。

   教育団体側は、内容を精査して「いじめ」のシーンが含まれていない回だけを放送するように求めている。政府機関も調査に乗り出す構えだ。波紋は広がる一方だが、ネット上では「のび太は人生の勝ち組」だとの声もある。作品への批判が妥当ではないという声も根強い。

番組見た子どもが「ジャイアン化」する??

   台湾の大手紙「自由時報」(電子版)が2014年7月15日に報じたところによると、作品のあり方に疑問を唱えているのは、南部の都市・高雄(カオシュン)の教育団体。同市教員組合の董書攸理事長は、

「今のテレビアニメには、子どもが見るには適さないエピソードがいつも出てくる。物理的、言語的な暴力やいじめがよく出てくる」

と指摘した上で、

「中でも『ドラえもん』は子どもに人気で、影響が比較的大きい。その内容にはいじめが含まれているが、テレビ局は注意喚起をしてこなかった。幼い子どもは自己判断能力に欠けており、まねをする可能性がある」

と、「ドラえもん」を見た子どもが「ジャイアン化」することを懸念した。

   児童福祉団体「児童福利連盟」も、やはり「ドラえもん」には問題があるとみる。同連盟では、のび太はジャイアンから長期にわたっていじめを受けており、時にはスネ夫もいじめに加担していると説明。これらの設定が子どもの成長に悪影響を及ぼすと主張している。

「現実にはひみつ道具はないし、大人もめったに介入して助けてくれたりはしない。いじめられる子どもは、心身両面で苦痛を受けており、成人後の人格や心理面で影響を与えかねない。いじめられた子どもの子どもは、後に多くの問題行動を起こす」

「ワンピース」ではくわえタバコにモザイク入る

   この団体では、激しいいじめのシーンが含まれている古い時期の番組は放送しないように求め、最近制作された番組と劇場版は比較的表現が穏やかだとして番組前や番組中にテロップを入れるなどして注意喚起するように求めている。これらの動きを受け、放送局を監督する国家通信放送委員会(NCC)は調査に乗り出す方針だ。

   台湾では、「ワンピース」の登場人物がくわえタバコをしているとして問題になったことがある。テレビ局はこれらの団体からの改善要求を受け入れ、現在は「タバコ部分にモザイクを入れて放送している。今回のドラえもんの件でも、放送局側は何らかの対応を迫られる可能性がある。

   ただ、台湾でも「のび太が『単なるいじめられっ子』」だという見方には異論が出ている。ドラえもんのキャラクター設定には執筆時期によっていくつかのパターンがあるが、その中のひとつに「のび太は就職に失敗し、仕方なく起業。10年後に火事を起こして倒産」というものがある。この点について、タブロイド紙の「アップル・デイリー」では、7月16日に

「10年も会社を続けられる人は、単なる『無能な人』ではない」

といったネット上の声を紹介している。さらに、のび太は静香ちゃんとの結婚に成功しており、「実際のところは、のび太は人生の勝ち組だ」という評価も多い。

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