2024年 4月 27日 (土)

「嫌韓」の人は日本を過小評価 逆に韓国をあまりに肥大視している
評論家・古谷経衡さんに聞く

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韓国は小さな国でネットが言う「謀略」する力なんかない

J-CASTの取材に応える古谷経衡さん(編集部撮影)
J-CASTの取材に応える古谷経衡さん(編集部撮影)

――たとえばこの話が韓国ではなく別の国なら、ほとんど騒ぎにならなかったのでは。

古谷 ヨーロッパでもアメリカでもアジアでも、海外どこでもこういう話はあるものです。ネットでは「マスコミは特亜(※特定アジア。韓国・中国・北朝鮮を指すネット用語)ばかり取り上げる、偏向報道だ」とよく言いますが、ネットこそむしろ特亜、特に韓国の話しかしていない。韓国を嫌いすぎるあまりに彼らの中では、韓国をあまりに肥大視してしまっている。行けばわかりますけど、韓国は小さな国ですよ。ネットが言う「謀略」をする力なんかない。そこにいちいち構い続ける余力を、たとえば中国の軍拡への警戒など、もっと他に振り分けるべきでしょう。

――ネットでは韓国などの「反日プロパガンダ」が国際社会に与える影響を懸念する声も強い。

古谷 でも、BBCなどの調査からもわかりますが、日本の国際的評価は全然下がっていないし、訪日外国人の数は今過去最高ですよね。それが何よりの証拠で、世界は韓国の言っていることなんて無視しているんですよ。韓国の「反日」をいいたてる人ほど、日本を過小評価している。「日本人はもっと自信を」と言っている当人が日本に自信がない。「嫌韓」「陰謀」を言えば言うほど、日本人は日本の姿を客観視できなくなる。日本が小さくなってしまう。本当は日本の方がずっと大きな国なのに、海外からも「日本人は韓国をライバル視している。韓国ってすごいんだ」って思われてしまう。「陰謀が、工作員が」とか言う人こそ最も「反日」ですよ。

――一方で、「嫌韓本」はブームが続いていますが、この状況をどうご覧になりますか。

古谷 「嫌韓ブーム」は、昔の「UFOブーム」と似ていると思うんです。最初は読者も真面目に驚いていたのが、やがてネタは消費しつくされてしまうし、話自体も検証の仕様もないものばかりだし、最後には「UFO」と言っただけで笑われるようになる。今の「嫌韓本」も底堅い、ある程度は確実に売れるけれど、100万部売れるということはない。しかも買うのは同じ人ばかり。読者はより強い刺激を求めるけど、そうそう大きなネタが出てくるわけでもなし、いつかはしぼんでいく。UFOと同じで、なくなりはしないでしょうが。むしろこれからは、中国情勢の専門家や中国ウォッチャーの人がどんどん出てくるのでは。韓国と違い、中国はまさに現実的な脅威ですから。

古谷経衡氏 プロフィール
   ふるや つねひら 1982年生まれ。立命館大学文学部卒業。ネットと「保守」、マスコミ問題、またアニメ評論などのテーマで執筆活動を展開するとともに、CS放送やインターネット番組などにも多数出演している。著書に『ネット右翼の逆襲』(総和社)、『若者は本当に右傾化しているのか』(アスペクト)、『無韓心』(WAC、8月27日発売予定)など。

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