2024年 3月 29日 (金)

「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(9)
日本の悪口は中国の一般人の好みに合う だから紙面に日本の批判があふれる
香港フェニックステレビ、リー・ミャオ東京支局長に聞く(下)

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   日中共同世論調査では互いの国民に「良くない印象」を持つ人が9割を超え、両国の国民感情は過去になく悪化している。この世論を形成するのに大きな役割を担っているのがメディアだが、中国メディアは日本批判を強めるばかりで「悪循環」だという指摘もある。中国メディアが日本批判を続ける背景や、どうすればこの状況が改善できるかについて香港フェニックステレビのリー・ミャオ東京支局長に聞いた。

―― 東日本大震災発生直後にリーさんが生中継で涙を流して「どうして日本人のために泣くのか」と中国のネット上で非難されたことは有名です。一方、8月15日の靖国神社の取材では、罵声を浴びせられたり石を投げられたりしています。日中双方から非難されている形です。

リー: それでも、中立でなければならないと考えています。そうしなければフェニックステレビの存在意義はない。中立でなくて良いのであれば、国営メディアに行けばいい。ここは譲れない一線です。

「売国奴」といった罵倒ばかり

香港フェニックステレビのリー・ミャオ東京支局長は、「内圧」を制御する必要性を説いている
香港フェニックステレビのリー・ミャオ東京支局長は、「内圧」を制御する必要性を説いている

―― 2012年には石原慎太郎氏の会見で、尖閣諸島の中国名にあたる「釣魚島」という名称を使って質問したのに対して石原氏が反発し、口論に近い状態になりました。最近の例では、菅義偉官房長官の14年7月11日の会見で、単に「島」と質問していました。何か名称についてルールがあるのですか。

リー: できるだけ中立的な聞き方をしようと心がけていますが、視聴者には地名にこだわりを持つ人もいます。かつて官房長官会見で「尖閣諸島についてお聞きします」と質問したら、中国の視聴者から「なぜ『釣魚島』と言わないのか」と批判を受けました。正式なインタビューでは「釣魚島、日本ではいわゆる尖閣諸島と呼ばれている~」といった表現にしています。日本メディアでは「尖閣諸島(中国名・釣魚島)」と表記していますが、フェニックステレビは香港のメディアなので、これを逆に表記しているということです。

―― 石原氏とのやり取りでは、中国メディアから「愛国記者」として称賛されました。リーさんにとって歓迎すべきことでしたか。

リー: 「愛国記者」と呼ばれたのは、この時と、鳩山氏がインタビューで「中国側から見れば(日本が尖閣諸島を)盗んだという風に思われても仕方がない」と述べた時の2回だけで、それ以外は「売国奴」といった罵倒ばかりです。繰り返しになりますが、中立的に報じることを心がけているので、「愛国記者」になろうとしているわけではありません。
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