2024年 3月 19日 (火)

ボコボコ朝日新聞が抱えた新たな難問 「吉田調書」誤報取り消しに弁護士ら異議

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   いわゆる「吉田調書」の問題をめぐり、朝日新聞が新たな対応を迫られることになりそうだ。朝日新聞は、2014年5月20日に1面トップで「所長命令に違反 原発撤退」と題して掲載した初報が誤報だったとして取り消したが、弁護士の有志が「記事全体を取り消さなければならない誤報はなかった」とする申し入れ書を9月26日に朝日新聞側に提出し、関係者を処分しないように求めたからだ。

   だが、申し入れ書と朝日新聞が会見で説明した内容とではかみ合っていない部分もあり、認識の隔たりが際立つ結果になっている。

   申し入れ書は、木村伊量(ただかず)社長と、誤報の検証を進める第三者機関「報道と人権委員会(PRC)」宛て。狭山事件再審請求運動で知られる中山武敏弁護士を筆頭に、梓澤和幸弁護士、宇都宮健児弁護士、海渡雄一弁護士ら9人が連名で提出した。9人以外にも、全国の弁護士191人が賛同している。

「『命令違反で撤退』したかどうかは解釈・評価の問題」

朝日新聞は9月11日の会見で「吉田調書」報道の初報を取り消すことを発表した
朝日新聞は9月11日の会見で「吉田調書」報道の初報を取り消すことを発表した

   申し入れ書では、

「『命令違反で撤退』したかどうかは解釈・評価の問題です。吉田所長が所員に福島第一の近辺に退避して次の指示を待てと言ったのに、約650人の社員が10キロメートル南の福島第二原発に撤退したとの記事は外形的事実において大枠で一致しています。同記事全部を取り消すと全ての事実があたかも存在しなかったものとなると思料します」
「記事全体を取り消さなければならない誤報はなかったと思料します」

などと指摘している。

   だが、この指摘と朝日新聞側の説明とは、必ずしもかみ合っているとは言えない。例えば9月11日の記者会見では、「事実の誤りを認めたのか、評価の誤りを認めたのか」という記者の質問に対して、杉浦信之取締役(編集担当)=解職=が「事実」に誤りがあったと明言。外形的に命令はあったが、それが所員に伝わっていなかった点を把握できていなかったと説明した。記事全体を取り消した理由についても、取り消した「所長命令に違反 原発撤退」という見出しが「記事の根幹部分」にあたる以上、記事全体を取り消さざるを得ないと説明していた。

   申し入れ書では、

「貴紙報道は政府が隠していた吉田調書を広く社会に明らかにしました。その意義は大きなものです。この記事は吉田所長の『死を覚悟した、東日本全体は壊滅だ』ということばに象徴される事故現場の絶望的な状況、混乱状況を伝えています。記事が伝える状況に間違いはありません」

とも主張している。だが、「申入書」で指摘されている「死を覚悟した、東日本全体は壊滅だ」といった記述は初報の5月20日の記事には含まれていない。加えて、朝日新聞が取り消したのは初報のみだ。

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