2024年 4月 26日 (金)

アマゾン「カスタマーレビュー」に問題書き込み 出版社が「デマ記載と誹謗中傷」だとして削除要請

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   インターネット通販「Amazon.co.jp」(以下、アマゾン)で販売されている商品には、利用者が感想を書き込める「カスタマーレビュー」の欄がある。ここに、書籍の筆者を中傷する投稿があると出版社がツイッターで明かした。

   過去にも、レビューを巡っては時折トラブルが生じている。今回アマゾンは、どのような対応をするだろうか。

違反レビューの放置そのものが「デマ拡散、侮辱につながる」

「悪質レビュー」が筆者を悩ます(写真はイメージ)
「悪質レビュー」が筆者を悩ます(写真はイメージ)

   東京の出版社、影書房はツイッターで、アマゾンで取り扱われている同社の新刊本「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」に対するカスタマーレビューの一部削除を求めていると2015年1月18日にツイートした。

   筆者はフリーライターの李信恵さん。在日コリアンで、ネットニュースなどの取材記者として活動する。影書房の著者紹介によると、自身ツイッターで「ネトウヨ」から日々攻撃され、深刻なダメージを受けながらもヘイトスピーチ問題に取り組み、その活動記録を中心にまとめて本を出版した。1月21日現在、アマゾンでは「一時的在庫切れ」となっている。

   影書房によると、削除要請をしたレビューは、「著者や本書に関する明らかなウソ。それら虚偽に基づく著者個人への誹謗中傷」「在日コリアンの歴史についてのデマを書き、在日コリアンが犯罪や暴力を重ねてきたかのように印象付けることを目的とした書き込み」「上記のようなデマ記載によって、在日コリアンや韓国人が日本人に対してあたかも敵愾心を抱いているかのように印象付けることを目的とした書き込み」「上記のように記しつつ、『だから日本人は在日コリアンや韓国人を差別しても許される』と差別を煽動し正当化する書き込み」の4点。これらを放置すること自体が「著者および在日コリアンに関するデマを拡散し、著者・在日コリアンを侮辱することにつながると考えます」という。

   1月21日午後現在、「#鶴橋安寧」には33件のレビューが寄せられているが、評価は5段階で最高の「5」と最低の「1」にほぼ二分される極端さだ。「1」は21件あるが、コメントの中身は著者の李さんの経歴やライターとしての活動に対して根拠のない中傷、「差別の当たり屋」とまで表現したものもある。「日本に不満があれば半島に帰れば良い」という言い回しも見つかった。

アマゾン広報「違反レビューは非掲載または削除の対象になる」

   アマゾンは、カスタマーレビューのガイドラインを定めている。その中に「禁止事項」があり、該当するコメントの掲載は削除の対象となりえると明記されている。

   そこには「他人に不快感や嫌悪感を与える投稿」「商品と関連のない内容で、個人を誹謗中傷する表現又は悪意を含む内容や表現」などが含まれる。書籍であれば、仮に内容が購入者にとって期待外れであったのなら、それを批判するコメントを書き込んでも問題はない。だが作品とは別次元での筆者に対する個人攻撃、それも裏付けすらないのであれば商品に対するレビューの域を逸脱しており、削除対象と見られてもおかしくないはずだ。

   また各レビューの欄には、「違反を報告」と書かれたリンクが付いている。ガイドラインに反している内容を別のユーザーが見つけたら、ここをクリックしてアマゾンに報告できる仕組みだ。実際、「#鶴橋安寧」に対する嫌がらせと思えるレビューを報告したとツイートした人も見られた。

   悪意に満ちた個人攻撃のレビューに悩まされた人は、過去にもいた。経済評論家の勝間和代さんは、2011年10月20日付のブログで「以前から、amazonは匿名や複数アカウントで、買ってもいない本について、本の批評ではなく、著者の性格や品性を問題にするだけのレビュー、コメント、タグなどが相次ぎ、その対応に悩まされていました」と明かした。当時の勝間さんの新刊本に対して、見るに堪えかねるような表現、書評とは言えないレビューが続くとしてアマゾンに改善を訴えた。例えば「あの大学出身者は」とか「女だから」といった、本論と関係のない相手への人格・出自・性別・学歴などを根拠とした議論、また反証可能性のない問題の提示はルール違反とすべきと提案している。

   それでも、レビュー欄には「勝間和代とは愚か者の代名詞だと思います」といった表現が今も残っている。違反報告がなければそのままになってしまうのかもしれない。

   個人の誹謗中傷を含め「他人に不快感や嫌悪感を与える投稿」は禁止事項とうたっている以上、アマゾン側で積極的に取り締まらないのだろうか。J-CASTニュースはアマゾンに、いわゆる「ヘイトスピーチ」が禁止事項に当たるか、また明らかにガイドラインに抵触するレビューの場合は最初から掲載しないという判断は下さないのかを問い合わせた。同社広報部は、メールでこう回答を寄せた。

「Amazon.co.jpでは、健全なコミュニティを維持するためにレビューガイドラインを設けています。レビューガイドラインまたは当サイトの利用規約やその他のポリシー、ガイドラインに反するレビューおよびコメントにつきましては、非掲載または削除の対象となります」
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