2024年 3月 29日 (金)

日銀の異次元緩和2年、「公約」空手形に? 物価上昇率2%の達成期限が迫ってきた

   日銀が黒田東彦総裁のもと、大規模な量的・質的金融緩和(異次元緩和)に乗り出してから2015年4月で丸2年となる。13年4月に異次元緩和を導入した際、物価上昇率2%の達成期限を「2年程度」と掲げたが、足元の消費者物価の伸び率は原油価格急落に直撃されて0%台で推移しており、達成は遠のいているのが現状だ。

   日銀は2015~2016年度に2%に達するとして「2年程度」の旗を降ろさない構えだが、達成が2016年度になれば事実上3年を要することになり、日銀の「公約」は空手形と化しつつある。

従来のシナリオを崩さず

「袋小路」に入りつつある...(画像はイメージ)
「袋小路」に入りつつある...(画像はイメージ)

   日銀は1月21日の金融政策決定会合で、中期的な経済、物価の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」を改定し、2015年度の物価の見通しを従来の「1.7%」から「1.0%」に大幅に下方修正した。平均1.7%なら「ほぼ目標の2%へ届いている」と説明できそうだが、平均1.0%は到底、合格点とはいえない水準だ。

   この見通しに沿えば、物価が2%に達する時期も遅れる可能性が高く、2年程度での達成は難しいと認めることが自然に思える。だが、黒田総裁はこの日の記者会見で「物価は2015年度を中心とする期間に2%に達する」と従来のシナリオを崩さなかった。

   原油価格の下落は日本経済にとってプラスであり、日銀の昨年10月の追加緩和の効果もあって、人々のデフレマインドの転換が着実に進みつつある――というのがその理由。つまり、物価は当面、原油価格の下落で下押しされるが、その後は急カーブで伸びを加速させ、予定通り「2015年度を中心とする期間」に2%に届くと強弁しているのだ。

   展望レポートでは、原油価格下落による物価への影響はマイナス0.7%程度という試算までわざわざ公表し、言外に「原油価格の下落がなければ、日銀の見立て通りに物価は上がっていた」とにおわせた。

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