2024年 4月 29日 (月)

沖縄「基地」めぐる世代間格差 若くなるほど高い「容認度」

普天間移設について意見聞かれ「わからない」が36%

   対象を高校生にしぼると、その傾向はさらに顕著だ。

   沖縄歴史教育研究会と沖縄県高教組は15年1月から3月にかけて県内の高校60校を対象に平和教育に関するアンケートを行い、36校・2340人から回答を得た。調査は5年ごとに行われている。

   「沖縄に米軍基地があることについて、どう思いますか」という問いに対しては、「全面撤去すべき」または「整理・縮小すべき」と回答した人は、1995年は83.8%、2000年に59.0%、05年に73.9%、10年に66.3%、15年に62.0%といった具合に変化している。1995年には米兵による少女暴行事件、2004年には沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事件が起こっており、その直後の調査で「撤去」「整理・縮小」の声が高まっていることが分かる。なんらかの事件が起こると声が高まり、時間の経過にともなって右肩下がりになるという構図だ。そう考えると、ここ5年ほどで辺野古関連の報道の量からすれば、15年の調査では「撤去」「整理・縮小」の声が増えそうだが、実際はそうはならなかった。こういった点について、沖縄歴史教育研究会では

「若者の基地の容認化が進んでいる証であろう。基地問題について、具体的に学ぶ機会が少ないことが要因として考えられる」

と「学ぶ機会」の不足が影を落としているとみている。

   普天間移設については、さらに「容認化」の傾向は強まっている。「普天間基地の移設場所について、どう思いますか」という問いに対して、前回10年の調査では「国外・県外移設」46.8%、「辺野古・勝連沖」5.7%、「普天間そのまま」14.8%、「わからない」32.7%だった。これに対して今回の調査では、「国外・県外移設」34.6%、「辺野古移設」8.8%、「普天間そのまま」20.7%、「わからない」36.0%。「国外・県外移設」が減少し、その分「辺野古移設」「普天間そのまま」が増えていることが分かる。基地への容認度が高まっているのはもちろん、「わからない」の割合が増えていることからすると、無関心な高校生も増えていることになる。

   その背景として、沖縄歴史教育研究会では(1)米軍基地の成立過程(歴史)やその役割を知らない(2)そのため普天間基地の危険性をよく理解していない(3)沖縄経済が基地依存で成り立っているという誤った認識を持っている、といった点を挙げており、今沖縄で起こっていることを、言わば「点」として教えるだけではなく、基地ができるまでの文脈を踏まえた「面」で教えていく必要性を強調している。

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