2024年 4月 28日 (日)

スカイマーク再生、8月5日に山場の債権者集会 スポンサーにデルタ登場、ANAの優位崩れた?

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   民事再生手続き中の航空会社「スカイマーク」の債権者集会が2015年8月5日に迫った。

   ANAホールディングス(HD)を支援企業とする会社側の再生計画案に反対し、独自の再生計画案を提出した最大債権者の米リース会社「イントレピッド・アビエーション」は、米大手のデルタ航空を支援企業に選定。日米航空会社がスカイマークのスポンサーの座を巡って火花を散らす異例の展開となっている。ANAHDは強気の姿勢を装っているものの、強力なライバルの出現に焦りを隠せない様子だ。

  • ANAに強力なライバル出現
    ANAに強力なライバル出現
  • ANAに強力なライバル出現

「決まらない」とタカをくくっていたが

   「スポンサーはどうせ決まらないだろう」。ANAHDの幹部は7月中旬、イントレピッド・アビエーションが航空会社の支援企業を選定できないとタカをくくっていた。イントレピッドはANAHDによる支援に反発し、独自の再生計画案を提出したものの、航空会社の支援企業は「選定中」だった。このため、ANAHDは「イントレピッドの再生計画案は実現可能性が低い」と自案の優位性に自信を深めていたのだ。

   ところが、その直後の7月15日、イントレピッドはデルタ航空がスカイマークの支援に名乗りを上げたと発表した。東京都内でデルタ航空の森本大・日本支社長とそろって記者会見したイントレピッドのフランクリン・プレイCEO(最高経営責任者)は、「デルタ航空は最善のスポンサーだ」と胸を張り、8月5日の債権者集会でイントレピッド案へ投票するよう債権者に呼びかけた。デルタの森本支社長も「(ANAHD、日本航空に対抗する)『第3極』を維持できる」と支援の意義を強調した。

   デルタが名乗りを上げた背景には、ユナイテッド航空、アメリカン航空を加えた米3大航空会社のうち、ANAがユナイテッド、JALがアメリカンと、それぞれマイレージなどを共通化するアライアンスを組んでいて、デルタだけが日本の航空会社と提携していないという事情がある。デルタは日本国内の地方都市との乗り継ぎが不便で、日本市場開拓に苦労しているのだ。

   デルタの米国便はほとんどが成田発着だが、将来的に羽田発着が増えれば、スカイマークの国内線との乗り継ぎにより、日本の地方都市の需要を取り込むことが期待できる。デルタの森本支社長は記者会見で「日本に提携航空会社がぜひ欲しい」と述べ、スカイマークに対してマイレージ制度導入や機体整備などの支援を行う意向を示した。

国交省は沈黙守る

   日本市場への足がかりを作りたいデルタと、スカイマークがキャンセルしたリース機の引き受けをちらつかせながら最終的に断ったANAHDに反発するイントレピッドの思惑が一致した形だが、慌てたのはANAHDだ。債権者集会では、債権総額と債権者数のいずれも過半数を得た案が可決される。イントレピッドは債権総額のうち約38%(議決権ベース)を持つとされ、2位の債権者である欧州エアバス(同約29%)やロールスロイス(同約16%)など、大口債権者のいずれか1社でも賛成に回れば、債権総額では過半数を押さえられそうな情勢だからだ。

   ANAHD幹部は「エアバスやロールスロイスにとってANAは重要な顧客であり、最終的には賛成してくれる」と平静を装うが、動揺は隠せない。スカイマークの取引業者など小口債権者に対し、ANA陣営への賛同を呼びかける文書を送るなど、多数派工作に懸命だ。スカイマークの取引業者はほとんどがANAとも取引があり、国内企業であるANAが支援したほうが、将来的な取引の継続性が高まると訴えているという。

   対するデルタも、エアバスから大量の機体を購入している「お得意様」である点は同じ。小口債権者についても「けっこう取引がある」(幹部)と自信を示す。デルタ陣営は債権者に対し、弁済額を上積みする追加提案も示すなど、両陣営の得票争いは激化する一方だ。

   ただ、どちらに投票するか決められない債権者は、議決権を分割して投票することもできるなど、債権者集会の投票のしくみは複雑で、事前の票読みは極めて難しい。債権総額と債権者数の両方で過半数を取れず、両案とも否決される可能性も十分ある。その場合は一定の期間を置いて再投票にもつれ込む公算が高い。

   一方、監督官庁である国土交通省の立場は複雑だ。国内航空市場の競争促進のため「第3極」を提唱してきたものの、今の政府・自民党は、民主党政権下で公的支援を受けて再生した日本航空に批判的で、ANAを擁護するスタンス。今回のスカイマーク支援についても沈黙を守っており、債権者集会での結論を慎重に見極める構えだ。

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