声優・大山のぶ代さん(82)の夫で俳優の砂川(さがわ)啓介さん(78)が2015年10月26日、認知症をわずらっている大山さんの介護についてつづった本「娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代『認知症』介護日記」(双葉社)の出版記念会見を開き、「よく笑っている」などと大山さんの近況を明かした。当初は認知症の公表にはためらいがあったというが、公表したことで「とっても楽になった」とも振り返った。認知症の人を家族に持つ人に対しては「ひとりで背負わないこと」が重要だと呼びかけていた。「おむつをはく」といった現状も明かされる大山さんはアニメ「ドラえもん」の声を1979年4月から2005年3月まで26年間演じたことで知られ、ドラえもん降板後の08年に脳梗塞を患って入院。09年頃から認知症の症状が出始め、12年秋にアルツハイマー型認知症と診断された。砂川さんは大山さんの発症を15年5月のラジオ番組で公表し、直後に出版の話が持ち上がった。本の中では、「徘徊」「幻覚」「おむつをはく」といった大山さんの症状が明かされているほか、2700日にわたって記してきた「介護ノート」の一部を収録。表紙には、認知症発症後の15年8月末に撮影されたツーショット写真が使われた。砂川さんによると、大山さんは完成した本の写真を見せられても特段の反応はなかったというが、マネージャーによると、砂川さんの不在時には表紙を見つめるなどしていたという。会見の前には大山さんと昼食を取ってから自宅を出発したといい、「最近は僕が笑うことによって、向こうも笑い顔が増えてきた」「気圧の加減で機嫌が良くなったり悪くなったりする」「ここのところお天気が続いているので、よく笑っている」などと近況を明かしていた。「喋らなければ、誰も手助けしてくれないですからね」当初、砂川さんは、「イメージの問題もあるし、うちのことを公表するのはいやだと決心しかねていた」として公表には否定的だったが、介護に関する著書もある友人の毒蝮三太夫さん(79)の勧めもあって公表に踏み切った。出版で「とっても楽になった」といい、記者から「最も辛かったこと」について聞かれると、「正直に言えなかった、うそついてた。喋っちゃってほっとした」と振り返っていた。家族に認知症の人がいる人に対しては、病気を公表することで周辺の助けを得やすくなると説いた。「一番大きなことは、ひとりで背負わないこと。みんなに喋っちゃった方が(いい)。これだけ多くの認知症の人がいるわけだから、隠したってしょうがないし、みんな理解してくれるだろう。話すことによって、助けてくれる人もいるだろうし。喋らなければ、誰も手助けしてくれないですからね」
記事に戻る