2024年 4月 23日 (火)

シリア取材の安田純平氏が拘束される? 「身の代金要求」を疑問視する声も

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   シリア取材に向かったフリージャーナリストの安田純平氏(41)が消息を絶ってから半年が経過し、安田氏が反政府グループに拘束されているとの見方が出てきた。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)が安田氏の救出を求めて出した声明の中で明らかにした。

   ただ、2015年7月末時点で「拘束されたことについては、政府として確認していない」としていた日本政府は、今でも拘束の事実を把握しているかについても明らかにしないまま。声明の信ぴょう性を疑う声もあり、情報は錯そうしている。

  • 「国境なき記者団」(RSF)の声明が波紋を広げている
    「国境なき記者団」(RSF)の声明が波紋を広げている
  • 「国境なき記者団」(RSF)の声明が波紋を広げている

7月にはCNNが「拘束説」報じていた

   安田氏のツイッターは6月20日に、

「これまでの取材では場所は伏せつつ現場からブログやツイッターで現状を書いていたが、取材への妨害が本当に洒落にならないレベルになってきているので、今後は難しいかなと思っている」

と書き込んだのを最後に更新が途絶えており、7月上旬になって拘束されたという情報が浮上。菅義偉官房長官は7月9日の会見で、

「邦人ジャーナリストが拘束されているという情報には接していない」

と述べた。7月16日にはCNNが「安田氏はイスラム過激派に拘束された可能性が高い」とする友人の声を報じたが、菅氏はその後の7月31日の会見でも、

「そうした報道があることは承知している。政府としては、ありとあらゆる情報網を関係方面に駆使しながら情報収集に努めている」
「拘束されたことについては、政府として確認していない」

と述べ、事態を把握できていないことを明かしていた。

   それから5か月が経過した12月22日、RSFが「日本政府は、安田純平氏の解放を勝ち取るために尽力すべき」だとする声明を発表した。声明によると、RSFは12月21日、安田氏を拘束しているグループが

「身代金の支払いを求めてカウントダウンを始めており、支払われなければ処刑か他のテロリストグループに売り飛ばすと脅迫している」

という情報を得たという。声明では、安田氏が、

「7月初旬にシリア国境を越え、その数時間後にヌスラ戦線の支配地域で武装グループに誘拐された」

とも説明している。ヌスラ戦線はシリアで活動している反政府武装組織で、過激派組織「イスラム国」(IS)とは対立関係にあるとされる。

セキュリティーコンサルタント会社がRSFに情報を持ちこんだ?

   友人のフリージャーナリスト、常岡浩介氏(46)は、RSFに確認した結果として、

「家族にも日本政府にも身の代金要求はないが、セキュリティーコンサルタント会社CTSSのニルス・ビルト氏に対して誘拐犯は数日後の期限を切って身の代金を要求したそうです。しかし、ビルト氏は家族や日本政府の代理人ではなく、家族と連絡すら取っていません」
「家族や外務省の了承もなく、勝手に犯人に接触して、金銭要求を伝えてきている状況です。それでは、犯人側に荷担していることになってしまいます」

とツイートしている。

   そのCTSS Japanを名乗るブログが、12月8日付で菅官房長官と外務省に宛てた公開質問状を公開している。ブログ上の文面では、「安田氏を拘束しているグループと再び連絡が取れるようになった、トルコの信頼できる情報源」の話を根拠に、

「我々は、安田氏はシリアのイドリブ県で生存しており、健康状態は良好だと結論付けた」

という。この情報の信ぴょう性は明らかではないが、RSFがそれを検証することなく「声明」として発表したことで騒ぎが広がったようだ。

   菅官房長官は12月24日の会見で、

「政府としては邦人の安全確保はきわめて重要な責務であり、必要な体制をとり様々な情報網を駆使して全力で対応に努めている。そういうことに尽きる」
「事案の性質から、やはり詳細についてはお答えすることは控えたい」

と繰り返し、身代金要求の有無や、政府として拘束を確認したかについても確認を避けた。

   記者からの、

「最近、何か新しい展開はあったのか」

という質問には、

「そういうことは承知していない」

と応じた。額面通り受け取れば、7月から事態に進展がないということになる。

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