2024年 4月 20日 (土)

「会社の大事な会議に遅れてはならない」 停車した列車を降りた男性会社員のその後

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   「会社の大事な会議に遅刻できない」――。会社勤めの人であれば、おそらくその気持ちは十分に理解できるだろうが、やっていいことと悪いことがある。ある40代の男性は、緊急停車した列車から線路上に降りて、駅に向かって歩き出してしまった。

   JR東日本によると、この騒ぎでJR常磐線は運転を一時見合わせ。上下線の41本に最大1時間の遅れが出て、6万4000人に影響が出たという。

  • 10万人超が大迷惑! 40代男性が列車を止めた理由は…(写真はイメージ)
    10万人超が大迷惑! 40代男性が列車を止めた理由は…(写真はイメージ)
  • 10万人超が大迷惑! 40代男性が列車を止めた理由は…(写真はイメージ)

自力で駅まで歩き、列車を止めたのは「約17分間」

   騒ぎは2016年1月12日朝、東京都足立区のJR常磐線の綾瀬駅で起った。列車を待っていたお客がめまいを起こしてホームから転落。駅の警備員が非常ボタンを押して、取手発明治神宮前行きの上り普通列車(10両)が綾瀬駅の手前300メートル付近で緊急停車した。

   転落したお客が救助されれば事なきを得て、すぐに発車するだろうと乗客の誰もが思っていたはず。ところが、緊急停車していた列車に乗っていた40代男性が列車の窓を開け、線路上に降りて駅に向かって歩き出した。

   その理由を、「会社の大事な会議に遅れてはならない」といったという。

   JR東日本は、「男性が線路上を歩いたことで列車が停車した時間は、安全確認がとれるまで約17分間でした」と話す。自力で駅まで歩いてきたところを駅員が保護。その後、駅員が110番通報して警視庁綾瀬署員が駅に駆けつけた。

   インターネットには、

「社蓄の鏡だなwww」
「ブラック企業なら... きっと『なに駅員に捕まってんだよ!もっと頭を使え!』っていうだろうwww」
「そんなに大事な会議なら、余裕もって家出るとか、会社の近所のホテルに泊まれよ」
「恐るべし! 社畜をこじらせるとこうなるのか」
「で結局、会議には間に合ったの?」
「こんな判断力の人間が会社で使いものになる訳ない」

といった声が寄せられているほか、

「遅延証明書じゃダメなの?」
「大事な会議が重役へのプレゼンだったら必死になるのもわかる」
「悪いのは点検費用、保守費用の削りまくりですぐ止まるJR東日本ですわwww」

などと同情を寄せる声がないわけではない。

   40代男性は駅構内で警察から簡単な事情聴取を受けた後、警察署で詳しい取り調べを受け、厳重注意処分となったというから、どう転んでも会社の大事な会議には間に合わなかったと思われる。

運転の一時見合わせ、じつは10万人超が「被害」

   とはいえ、一番迷惑したのはこの40代男性と同じ列車に乗り合わせた乗客だ。いや、それだけではない。JR常磐線は、トラブルがあった綾瀬駅で東京メトロ・千代田線と直通運転でつながっている。さらには小田急線とも接続しており、遅れが発生。この3線を通勤や通学に利用する人たちも迷惑を被った。

   東京メトロは「運休などはありませんでしたが、このトラブルが原因で約4万人のお客様に影響がありました」と話す。つまり、JR東日本とあわせるとじつに10万人を超す人が「被害」を受けたことになる、とんでもない事態だったのだ。

   インターネットには、

「きっちり損害賠償を請求しろ!」
「お前のせいで他の人が1時間もムダにしたこと、わかってるのか」

と厳しい処分を訴える声や、

「これ、会社は解雇だろ」

といった声が少なからずある。

   鉄道法では、許可なくむやみに線路内に立ち入ることを禁止しているが、JR東日本も東京メトロも、この男性に対しては「とくに損害賠償などは考えていません」と話している。「今回のトラブルの原因は複合的なもので、時間がかかったのは架線と架線のつなぎ目に列車が停車したために、いったん電源を落とすなどの措置を施したためです」と、両社は説明する。

   一方、男性の勤務先は不明だが、会社では何らかの処分が下される可能性がある。「たかが遅刻」と、目くじらを立てることもないとの考えもあるが、このケースばかりは社会的な影響から、そうはいかないかもしれない。それだけ「非常識な行為」なのだ。

   企業アナリストの大関暁夫氏は、「最近、『非常識社員』が増えているようですが、それは一社員の問題ではなく、もしかしたら会社の考え方や雰囲気が社会通念から離れているからかもしれません」と話している。

   今回のケースでは、遅刻してもいいわけではないが、たとえ大事な会議に遅れたとしても、列車の窓から線路に降りさえしなければ、会社はまだ大目にみてくれたかもしれない。

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