2024年 4月 19日 (金)

竹田圭吾さん、スティーブ・ジョブズさん、坂東三津五郎さん・・・ 有名人を襲う「すい臓がん」に打ち勝つ方法はあるのか

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   がんであることを告白し、闘病生活を続けながらテレビやラジオに精力的に出演していたジャーナリストの竹田圭吾さん(51)が亡くなって間もなく1か月になる。すい臓がんだった。

   がんの中でも特に予後が悪く、生存率の低いがんとして知られるのがすい臓がんだ。これまでにもスティーブ・ジョブズをはじめ、夏八木勲さん、坂東三津五郎さんなど多くの著名人がすい臓がんで亡くなっている。

  • できればり患したくないがんのひとつ(画像はイメージ)
    できればり患したくないがんのひとつ(画像はイメージ)
  • できればり患したくないがんのひとつ(画像はイメージ)

患数と死亡数はほぼ同じ

   竹田さんが病気療養を理由にテレビ番組のコメンテーターを降板したのは2013年11月。15年9月には出演番組の中で、がんであること、カツラを着用していることを告白した。すでにやせ細っていた。そして16年1月、急逝した。「病気降板」から2年余りしかたっていなかった。

   予後が悪い、生存率が低いといえば「胆管(胆のう)がん」や「肝がん」が思い浮かぶが、すい臓がんは群を抜いて悪い。

   胃や大腸、肺、前立腺、乳房などに比べると、り患率や発症リスクこそ低いものの、国立がん研究センターによると、り患数と死亡数はほぼ等しく、毎年3万人以上が亡くなっているという。

   最新のがん統計でも、5年後の生存率はワースト1の約7%。ワースト2の胆管がんですら20%近い生存率であることを考えると、最悪に近い。

   理由のひとつは、早期に診断するのが難しい点だ。わかったときにはすでに進行していることが多く、治療法が限られてくる。遠くの部位にも転移しやすい性質も持つ。

   すい臓がんの多くは、すい臓の中を通る「すい管」という部位に発生するが、すい臓自体が体の深部にあり、他の臓器に囲まれているため、がんが発生しても発見しにくい。

   その上、特徴的な自覚症状もない。日本消化器病学会はすい臓がんの症状として腹痛、黄疸、腰や背中の痛み、食欲不振、体重減少などを挙げつつ、いずれもすい臓がんに限らず、胃炎やすい炎と診断されることもあると注意を促す。すい臓がんと診断された時点でも、12.4%の患者はまったく症状が認められないというデータもあるという。

   頼みの綱はがん検診による早期発見、早期診断だが、他のがんでもよくおこなわれる腹部超音波(エコー)検査と血液検査のすい臓がん早期発見率は、あまり高くない。

   CTは比較的有効とされているが、撮影のために使用する「造影剤」という薬品には頻度は少ないが重篤な副作用リスクがあり、気軽に何度も受けられるというようなものではない。MRIを利用した「MRCP」という検査は、早期発見にある程度有効とされている。

   より高度な検査方法として「内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)」や「超音波内視鏡(EUS)」があるが、実施している医療機関が限定されるうえ、費用も高額だ。また、ERCPは稀に急性膵炎を引き起こす可能性もあるため、「気になるからちょっと検査をしたい」という使い方はできない。

糖尿病、胆石、すい炎は要注意

   どういう人がなりやすいかというリスク因子は、いくつか明らかになっている。まず、喫煙はリスク因子として確立されており、患者の約20%は喫煙に起因する。また、燻製や加工肉、血糖値の上がりやすい食品を多くとることもリスク上昇につながる。

   米国での研究ではBMI(肥満度を表す体格指数)との関係も指摘され、BMI 30以上で発症リスクが男性で1.4倍、女性は1.3倍に上昇と報告。日本人を対象にした研究では、運動習慣がある人はない人に比べ、リスク低下がみられるとしたものがある。

   これらのリスク因子、糖尿病のリスク因子に似ているようだが、実はすい臓がん患者によく見られる既往歴が糖尿病なのだ。米国がん学会は、糖尿病はすい臓がんのリスク因子であると明言している。

   日本でおこなわれた大規模な調査でも、糖尿病の男性はすい臓がんの発症リスクが健康な人に比べ2.12倍、女性で1.5倍高いとされており、かなりの高リスク因子だ。

   中高年になって急に糖尿病を発症した、食生活や生活習慣には問題がないはずなのに急に血糖コントロールが悪化した、長期間糖尿病にり患している、といった人は、すい臓がんを疑って検査を受けることを考えてみてもいいかもしれない。

   検査方法の有効性が限られているとはいえ、早期発見できれば、手術での切除率が向上し、治癒する可能性も高くなる。発見が遅れ、別の臓器に転移していると、そもそも手術ができない場合もあるのだ。

   さらに手術後に適切な化学療法(術後補助化学療法)を組み合わせれば、生存期間の延長も期待できるとされている。[アンチエイジング医師団取材TEAM/監修:菱沼正一 栃木県立がんセンター病院長]


アンチエイジング医師団

「アンチエイジングに関する正確で、最新かつ有効な情報」を紹介・発信するためにアンチエイジング医学/医療の第一線に携わるドクターたちが 結成。 放送・出版などの媒体や講演会・イベント等を通じて、世の中に安全で正しいアンチエイジング情報を伝え、真の健康長寿に向き合っていく。HPはhttp://www.doctors-anti-ageing.com 2015年4月1日から医療・健康・美容に関する情報サイト「エイジングスタイル(http://www.agingstyle.com/)」の運営も開始。

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