2018年 12月 17日 (月)

【女の相談室】衝撃!膣液を赤ちゃんの顔に塗りたくる 医師も賛否両論の「母ゴコロ」効果は

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   帝王切開で生まれたばかりのわが子の顔に、母親が自分の膣液を塗りたくる行為が欧州で流行している。赤ちゃんのためを思っての母ゴコロだとか。

   医師の間では「深刻な感染症がうつるからやめて!」と反対する声と、「免疫力を高める新しい健康法」と推奨する声とが真っ二つだ。

  • 赤ちゃんを思う「母ゴコロ」はスゴイ(写真はイメージです)
    赤ちゃんを思う「母ゴコロ」はスゴイ(写真はイメージです)

「帝王切開の子は免疫力が弱いので...」

   帝王切開で生む女性は世界的に増えている。2008年の世界保健機関(WHO)の調査によると、出産に占める帝王切開の割合は、欧州23%、南北アメリカ35%、アフリカ4%、東南アジア9%、韓国40%、中国46%などとなっている。日本はまだ低く、2012年の厚生労働省の統計では19%にとどまる。WHOは2015年4月、「医学的に必要がないにもかかわらず、帝王切開に頼る女性があまりに多すぎる。母体にとって危険だ」と警鐘を鳴らした。

   しかし、帝王切開の方が楽という母親側の希望と、出産トラブルを避けたい医師側の事情が一致し先進国では急増中だ。ヴィクトリア・ベッカムやクリスティーナ・アギレラのように、超忙しいセレブが出産日を決めておく「予約帝王切開」も広がっている。

   こうした中、2016年2月23日発行の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」が衝撃的な論文を載せた。「英国やオーストラリアでは最近、帝王切開で生まれてきたばかりのわが子の顔や体に、ガーゼに染み込ませた自分の膣の分泌液を塗ることを希望する母親が増えている」と報告した。

   この行為は「vaginal seeding」(膣液植え付け)と呼ばれ、基本的方法は、帝王切開が始まる前に膣内に折りたたんだガーゼを挿入し1時間ほど留置する。出産後に膣液が染み込んだガーゼを取り出し、生まれてきた新生児の目元や口の周辺、そして全身に塗りたくるというもの。英や豪州では最近、メディアで「新生児に流行の新健康法」と報道されたこともあり、帝王切開を予定している妊婦の間で希望者が急増中だ。

   医師の中には「安全性が保証できない」と突っぱねる人もいるが、こっそりやってしまう母親が後を絶たない。

赤ちゃんは産道を通る時腸内細菌を受け継ぐ

   なぜ、こんな行為をするのだろうか。実は体の中の腸内細菌が関係している。人間の腸内には1000兆個以上の腸内細菌が棲みつき、健康状態や免疫機能を左右していることがわかっている。赤ちゃんが胎内にいる時は、腸内は無菌状態だ。出産で産道を通る時に膣内の細菌を肌や口から取り込んだり、母乳を飲む時に乳首周辺の細菌を口から吸収したりして、母親の腸内細菌を受け継ぐ。

   しかし、帝王切開の場合は産道を通らないので、通常の出産児に比べ腸内細菌の量が少ない。このため帝王切開児は免疫力が弱いといわれてきた。

   「vaginal seeding」は、産道を通らなかったわが子に、母親が膣液を含んだガーゼでふいてあげることで自分の細菌を分け与える行為というわけだ。

性病菌や危険な感染症で命にかかわる行為だが

   しかし、「BMJ」誌の報告の中で、英ロンドン大学のオーブリー・カニングトン氏ら6人の医師は連名でこう警告した。

   「vaginal seedingの安全性や効果は科学的に証明されていない。産道の中には母親が症状に気づいていない、B群連鎖球菌やヘルペスウイルス、クラジミア、淋菌などの病原体がたくさん棲みついている。特にB群連鎖球菌は感染すると新生児の命に関わる危険な感染症だ。それに赤ちゃんの腸内細菌には、膣液を塗るより、母乳を与える方が大きく影響する」

   一方、2016年2月2日発行の英医学誌「ネイチャー・メディスン(NM)」は、「vaginal seeding」が新生児の腸内細菌の状態を向上させるとする研究を発表した。それによると、帝王切開で生まれた4人の子に母親の膣内に1時間置いたガーゼで膣液を塗りつけた。その後、この4人の腸内細菌状態を、膣液を塗らなかった帝王切開児7人、通常出産児7人と比較した。すると、出生後30日の時点で、4人の腸内細菌状態は、膣液を塗らなかった帝王切開児7人よりも向上し、通常出産児7人に近い状態になった。

   ただし、この論文では「膣液を塗った場合でも、通常出産児が持つ腸内細菌の中で持っていないものが多くあり、完全な状態ではないことがわかった。どういうやり方だと完全に近づくのか、vaginal seedingはまだ一歩を踏み出したばかりだ」と慎重である。

   「BMJ」誌が指摘した「危険性」には触れなかった。

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