2024年 4月 25日 (木)

「原料がえびやかにを捕食しています」 甲殻類アレルギー「注意喚起表示」に驚きの声

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   「原料がえびやかにを捕食しています」――。スーパーや百貨店での食品に、こんな表示を見かけた経験はないだろうか。えびやかにのアレルギー表示をめぐる「注意喚起表示」が今、ネット上で話題を集めている。

   たとえ原材料に直接「えび、かに」が含まれていなくても、ふりかけや練り物、すり身などの原料の魚の加工食品のパッケージに記されているのだ。一体何のために表示されているのだろうか。

  • こんな表示、見たことありますか?
    こんな表示、見たことありますか?
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「かまぼこ」などに10年から原材料表示が義務化

   えび、かには成人にとってアレルギー症状の原因となる食物の筆頭。体内に入ると、湿疹が起きたり、呼吸困難など症状が重篤化しやすいことでも知られている。そうした背景もあり2008年、食品衛生法施行規則の改正にともない、卵、乳、小麦、そば、落花生の5品目に次ぐ「特定原材料」となった。2年の移行期間を経て、10年にはパッケージ等への原材料表示が義務化された。

   一般的にアレルギー物質の表示法は 2 種類ある。1つが「原材料表示」、もう1つが流通、製造段階でコンタミネーション(混入)が認められた場合の「注意喚起表示」だ。前者は原材料欄の中に、後者は欄外に記される。

   実は、えびとかにに関しては、他の5 品目にない「食物連鎖」や「混獲」、「共生」にかかわる注意喚起表示がある。

   一例を示すと、「原材料に使用している魚はえび、かにを食べているものを含みます」「原料がかにやえびを捕食しています」「本製品で使用しているしらすはえび、かにが混ざる漁法で採取しています」。

   言うまでもなく、えびやかには魚介類をはじめとした水生動物の餌だ。原材料が魚類だけの加工食品も、えびやかに、もしくはそれ由来のタンパク質を含んでいる。上記の表示は文字通り、アレルギー患者に注意を促すためのものだ。

   かまぼこやさつま揚げ、ちくわ、ふりかけ、乾物など様々な加工食品のパッケージにこうした類の注意書きがみられた。

   ネット上でも「初めて見るアレルギー表示」「こんなのあるんだ」と驚きの声が寄せられている。

魚の消化管の内容物が混入する可能性

   ただ、原材料表示と違い、注意喚起表示はメーカー側の判断にゆだねられる。J-CASTニュースが取材した消費者庁食品表示課の担当者は「各メーカーさんは、原材料を取り扱う業者への聞き取り調査、アレルギーの検査キットを使った『スクリーニング検査』などで『注意喚起表示』をするかどうか検討しているようです」とメーカー側の動きを明かした。確かに魚を使った加工食品すべてに、えび、かにの混入を示唆する注意書きがあるわけではない。

   そもそも、えびやかにを捕食した魚を加工して食べると、アレルギーの症状が出るのだろうか。

   症状の有無には言及していないものの、考えるきっかけとなりそうな資料はある。厚生労働省の研究機関「国立医薬品食品衛生研究所」が08年に発表した「食品原材料中に含まれる『えび』、『かに』等の甲殻類タンパク質の実態調査」だ。

   調査の中では、アレルゲンとなる甲殻類のタンパク質が魚を使った加工食品に多く含まれること、魚の種類や大きさによってタンパク質の検出量が大きく異なることが明らかにされている。

   例えば、しらすやちりめんじゃこといったいわしの稚魚製品では全検体の約92%で甲殻類由来のタンパク質が検出された一方、すり身では約45%、海苔製品では約32%という結果になったという。

   また、同じすり身の原材料でも、スケトウダラを使った場合は全検体の約18%しか検出されなかったのに対し、イトヨリダイだと約88%も検出されたようだ。

   この結果については、「スケトウダラは比較的大きな魚体を、イトヨリダイは商品価値の低い小さな魚体をすり身の原材料として用いる。このため小型魚の方が消化管の内容物が混入する可能性が高い」と分析されている。

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