2024年 4月 29日 (月)

「9.11」の暗転がバングラデシュにやってきた――ダッカ・テロ事件の背景にあるもの(上)
聖心女子大・大橋正明教授に聞く

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「小さな沢山のささくれ」がガッと大きくなる

――経済成長していく中、それはある種自然な流れとも言えるということですか。

大橋教授   ある意味で避けられない流れとも言えます。国際的には「世界の警察」であるアメリカがアフガニスタンやイラクで無実の人たちを大量に殺している。パレスチナやシリアの問題も一向に解決しない。そしてバングラデシュ国内では経済成長によるひずみ、すなわち社会的不正義が蔓延している。そうした、ささくれ立つようなことが国内外に多々あるわけです。
若い人たちはもともと過激思想を持っているわけではありません。しかし、そういう小さなささくれが沢山あり、ある日、その傷がガッと大きくなり、テロを起こすような過激思想に染まっていくのではないかと思います。
これを避けるには、そういう小さな芽にしっかり目を向けていかなくてはなりません。経済成長をゆっくりゆっくりやっていかないと、格差は開き、不正も蔓延します。ですから経済成長のみを優先せず、社会開発もちゃんとやらなければならない。「不正義」に対処していくことが大切です。

   ()では、日本とバングラデシュの関係を振り返りながら、日本人が犠牲になった事情、ISと高学歴な若者のつながりについて大橋教授の意見を聞く。


大橋正明教授 プロフィール

1953(昭和28)年9月24日、東京生まれの62歳。東京の町田市在住。72年、早稲田大学政経学部入学。74年10月~75年3月までブッダガヤにあるマハトマ・ガンディーのサルボダヤ運動のサマンバヤ・アーシュラム滞在(主にバラチャティ郡バッガ村にある全寮制の「不可触民」の子どものための小中学校に滞在。子どもたちの親の多くはブーダン農民)。78年3月大学卒業。78~79年文科省系特殊法人職員、79~80年インド政府奨学金を受け、インドの国立ヒンディー語学院上級ディプロマコース終了。80~87年に日本の国際協力NGOのシャプラニールのバングラデシュ駐在員と東京の事務局長、88~90年に国際協力機構(JICA)奨学金で米国コーネル大学大学院国際農業・農村開発研究科修了、90~93年に国際赤十字・赤新月社連盟兼日本赤十字社のバングラデシュ駐在員として防災、農村保健、難民などを担当。93~2014年まで恵泉女学園大学教授、2014年 から現在まで、聖心女子大学文学部人間関係学科教授(NGO/NPO論、南アジア地域研究)。

主要な社会活動は、シャプラニール=市民による海外協力の会評議員(元代表理事)、国際協力NGOセンター(JANIC)理事(前理事長)、日本NPOセンター副代表理事、(公財)早稲田奉仕園常任理事、アーユス仏教国際協力ネットワーク理事、(社福)コメット監事、国際開発学会常任理事、地球環境基金運営委員他。

主著に、NGOs and Japan's ODA: Critical Views and Advocacy(Chapter 20 of "Japan's Development Assistance" edited by Kato, Hiroshi et.al, Palgrave McMillan, London, 2015)、『国際協力用語集』(共編著、国際協力ジャーナル社、2014年)、『グローバル化・変革主体・NGO』(共編著、新評論、2011年)、『バングラデシュを知るための60章[第二版]』(共編著、明石書店、2009年)、『「不可触民」と教育―インド・ガンディー主義の農地改革とブイヤーンの人びと』(明石書店、2001年)他。

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