2019年 1月 21日 (月)

困っている人を助けたい「共感」の真実 ラットの実験でわかった「思いやり」とは

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   困っている人を見ると助けたくなるのが人情だが、それはなぜなのか、相手を本当に思いやってのことなのか?

   実は、自分自身の「つらい気持ち」から逃れるための行動らしいことがラットの実験からわかった。米シカゴ大学の研究チームが心理学誌「フロンティア・イン・サイコロジー」の2016年6月28日号に発表した。

  • ラットは仲間を助ける「共感」力のある動物だが
    ラットは仲間を助ける「共感」力のある動物だが

催眠鎮静剤を与えて助け出す行動の変化を調べたら

   ラットは、狭い場所に閉じ込められた仲間を見ると、助け出す行動をとることが、2011年の同じシカゴ大学の研究で明らかになっている。そこで今回、研究チームは、「ミダソラム」という催眠鎮静剤をラットに与え、助け出す行動がどう変わるか調べた。

   ミダソラムは、内視鏡検査や手術などをスムーズに行なうために使われる薬剤で、不安感や恐怖心を取り除く作用がある。ミダソラムを投与されたラットを、狭いゲージの中に閉じ込められたラットと同じ檻に入れた。ゲージは外から開けることができ、仲間を助けることができる。以前の実験ではラットたちは、狭いゲージの中で苦しんでいる仲間をみると、ゲージを外から開けて助け出していた。

   ところが、ミダソラムを投与されたラットは、困っている仲間を見ても助ける行動をとらなくなった。狭いゲージの中にチョコレートを入れると、ゲージを開けて食べるので、薬剤によって開け方がわからなくなったわけではない。この結果について、同大学のペギー・メイソン教授はこう説明する。

   「不安感や恐怖心をやわらげる薬剤を投与すると、救出行動をとらなくなったということは、仲間を助ける行動のもとになっているのは、苦しんでいる仲間を見た時に感じる『自らの苦痛』です。相手が『つらい思いをしている』のを見ると、自分もつらい感情を抱くのが『共感』です。ミダソラムを投与されたラットは、苦痛を感じなくなり、共感できなくなってしまったのです」

人助けは自分の「つらさ」から逃げるため?

   以前の実験では、困っている仲間を見たラットは、心拍数が上昇し、自分も苦痛を感じている兆候がみられたが、ミダソラムを投与されたラットの心拍数は上がらなかった。メイソン教授は「困っている人を見ると共感して助けたいと思うことは、とても美しい行動ですが、実は、自分も感じている苦痛から逃れたいためにしているともいえます。今回の実験でわかったことは、(ミダソラムのように)他の方法で精神的苦痛をやわらげることができれば、助けようとは思わなくなるかもしれないということです」と語っている。

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