2024年 4月 30日 (火)

有吉弘行を襲った悪寒は熱中症のせい 時間がたって怖い症状が続々と出る

   お笑い芸人の有吉弘行さん(42)がラジオ番組で「生まれて初めて熱中症になった」と明かした。熱中症の症状は、日中の厳しい暑さで意識がもうろうとする、また頭痛や吐き気、脱水症状がイメージされやすいが、有吉さんは「寒気」を「その日の夜になってから」感じたという。

   ひと口に熱中症と言っても、あまり知られていない意外な症状があるのかもしれない。

  • 初めて熱中症に襲われたという有吉弘行さん(2015年2月撮影)
    初めて熱中症に襲われたという有吉弘行さん(2015年2月撮影)
  • 初めて熱中症に襲われたという有吉弘行さん(2015年2月撮影)

「体温調節ができなくなります」

   有吉さんが自身の熱中症体験を明かしたのは、2016年8月7日放送の「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」(JFN系)。ロケで1日中ずっと日向にいたが、水分をあまり取らずにいたという。

   ロケ中は平気だったものの、時間を置いて異変が起きた。「その日の夜、ホテルで泊まってたら、めちゃめちゃ寒くなってさ。暑いのに」。さらに「風邪の時みたいに関節痛みたいなのが全身に出た。動悸がして、呼吸がハアハア荒くなっちゃって」と症状を説明した。その数日後、同じような症状が出た有吉さんの弟が「熱中症」と診断されたことを知り、自分も熱中症だったに違いないと思ったという。

   有吉さん自身が病院で診断を受けたかは話さなかったが、熱中症に「寒気」や「夜になってから発症」はあるのか。医療法人優美会・吉井クリニック(大阪府吹田市)内科医の吉井友季子院長は、J-CASTヘルスケアの取材に対し、「ありえる症状です」としてこう答えた。

「熱中症になると、脳の視床下部(ししょうかぶ)が機能異常を起こし、体温調節ができなくなります。暑いのに寒気を感じたり、頭痛や動悸、関節痛なども起きたりする可能性があります」

   脳の視床下部は、体温調節や血圧、代謝を司る自律神経系の中枢で、生命維持の中核を成す。日中の暑さですぐに熱中症の症状が出るとは限らず、「しばらくしてから、吐き気や、めまい、倦怠感などを訴えられる人もいます」という。

癖になる可能性はあるのか

   実は、熱中症の症状はさまざまある。環境省が2014年に作成した資料『熱中症の発生機序および予防・対処法』には、

「暑熱環境に居る、あるいは居た後の体調不良はすべて熱中症の可能性がある」

と書かれている。特に熱中症と判断するポイントとして「意識障害の程度、体温、発汗の程度などは、短時間での変化が大きい」としている。

   風邪に似た症状もあるが、吉井氏は「風邪の場合、熱中症には見られない上気道炎症状、消化器炎症状が先に起こったり、合併したりしていることが多いので、熱中症との鑑別はそれほど難しくありません」と話す。疑わしい症状が出たら、医療機関で診断を受けてほしいという。

   医療情報サイト「メンズスキンケア大学」の16年7月1日付の記事でも、吉井氏は「寒気があり、さらに発汗もピタッと止まってしまったら、かなり危険な状態です」とし、この場合「意識があったとしても、すぐに救急車を呼び、医療機関に搬送すべきです」と注意を呼びかけている。

   また、有吉さんは先述のラジオで、「1回熱中症になると、癖になるって言うんだよ。注意していても毎年かかりやすくなるんだって」と不安をもらしていた。この点を吉井氏に尋ねると、「癖になることは、ないと考えます」としながら、

「なりやすい素因、体質というのはあると思います」

と答えた。

   医療機器メーカー・テルモのウェブサイト「テルモ体温研究所」に掲載されたデータ「年齢別・性別でみる熱中症死亡率(1968~2004年)」をみると、熱中症による死者のうち男性は全体の7割を占め、しかも20歳から50歳までは年齢が上がるのに比例して死者数が増えている。同じ環境下で、同じ運動量、水分補給量だったとしても、特に男性は年齢が高くなると熱中症にかかりやすくなるのかもしれない。

   有吉さんは中学と高校で運動部に所属しており、体力に自信があったため「熱中症になんてなるわけないと思っていた」そうだ。たとえ今までは大丈夫だったとしても、油断せずに水分・塩分を随時補給するようにしたい。

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