2024年 4月 28日 (日)

あの大騒動後も「不正」続行 三菱自動車「企業体質の闇」

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   三菱自動車の燃費不正問題で国土交通省は、燃費データを改ざんした軽自動車4車種以外の現行9車種について燃費と排ガスの確認試験を行ったところ、「ミラージュ」「パジェロ」など8車種の燃費がカタログ値より最大で約8.8%下回ったと発表した(2016年8月30日)。三菱自は軽4車種の不正が明らかになった後、9車種の燃費を測り直して国交省に提出したが、ここでも燃費をよく見せるため、都合のよいデータを意図的に選ぶ不正を行っていたことがわかった。燃費をめぐる三菱自の闇は深いと言わざるを得ない。

   国交省は三菱自の燃費データの測定を法令違反と判断。省エネ法に基づき、カタログ燃費の修正を行うよう同社に指示するとともに、正しい燃費が表示されるまで販売を自粛するよう異例の要請を行った。

  • 三菱自動車の益子修会長(写真は2016年5月の会見)
    三菱自動車の益子修会長(写真は2016年5月の会見)
  • 三菱自動車の益子修会長(写真は2016年5月の会見)

「3往復の平均」のはずが...

   国交省は三菱自が国内で販売する現行9車種21台について、7月以降、走行抵抗値を実測し、燃費や排ガスを測り直す確認試験を行った。その結果、実際の燃費は、「アウトランダー」を除く8車種15台がカタログ値を最大約8.8%、平均約4.2%下回った。「RVR」の4WDモデルの場合、ガソリン1リットルで走行できる距離(JC08モード)は、カタログ値の16.0キロに対し、14.6キロに低下した。

   国交省によると、三菱自は燃費データを測り直す際、法令では試験路を3往復して平均を取るべきところ、60往復もしたうえで最も低い値を三つ選び、その平均を出していたという。

   一連の燃費不正問題で、三菱自は6月、現行9車種でも法令と異なる方法で走行抵抗値を測定するなど不正があったことを認めた。しかし、燃費については社内で再測定の結果、デリカD:5とパジェロの一部でカタログ燃費を最大2.2%下回ったが、残る7車種はカタログ燃費を達成していると主張していた。

次々と現れる新事実

   一方、国交省は、燃費データを不正に計測していたスズキの現行26車種についても確認試験を行ったが、こちらはカタログ値に問題はなく、三菱自の悪質さが改めて浮き彫りになった。今回のマスコミ報道は4月の軽4車種の燃費不正発覚時に比べると小さいが、軽の不正発覚後も現行車の燃費をよく見せかけようとしていた三菱自の企業体質は、その悪質さが際立つ。

   国交省の指示を受け、三菱自動車は現行8車種の正しいカタログ燃費値を国交省に届けた。国交省の確認試験でカタログ燃費との差が約8.8%と最も大きかった「RVR」の正しいカタログ燃費は、ガソリン1リットル当たり16.0キロから14.4キロに修正され、旧カタログ値との差は10%となった。自動車のカタログ燃費は実際の量産車がカタログ値に近い燃費を達成できるよう、自動車メーカーが数値に余裕を持たせている。このため、三菱自が今回修正した燃費も、国交省が測定した燃費よりもやや低い値となった。

   三菱自がカタログ燃費を修正した結果、燃費性能に応じて自動車重量税(国税)と自動車取得税(地方税)を軽減するエコカー減税についても、「ミラージュ」「RVR」「デリカD:5」の3車種で追加納税が必要になった。エコカー減税の追加納税額は自動車取得税だけでも約5億円とみられるが、三菱自がユーザーに代わり全額負担する方針だ。次々と現れる新事実。果たして、これで三菱自の燃費不正をめぐる問題は決着するのだろうか。疑念は一向に晴れない。

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