2024年 4月 30日 (火)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「みんなが解散と言うときには解散なし」 「超裏技」の選挙日程とは

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   もう永田町は解散風が吹いている。公明党が早期解散を容認しているのは、来(2017)年7月に実施される東京都議選と衆院選がかぶらないようにしたいためだ。また、先の国会で衆院選の1票の格差是正と議員定数10減のための改正公職選挙法が成立したことも大きい。

   ただし、区割りには時間を要するために、来年6月以降にならないと、新たな区割りでの衆院選はできないと見られている。現職の衆院議員は、これまでの区割りで選挙をしたいと望むだろう。このことから、衆院選は来年5月までに行われる公算が強い。

  • 解散風が吹く永田町
    解散風が吹く永田町
  • 解散風が吹く永田町

蓮舫代表の二重国籍問題の陰

   このスケジュールは、過去の衆院選を見てもわかる。衆院任期は4年であるが、戦後、任期がまっとうされた上での衆院選は、1976年12月の1回しかない。それ以外は任期満了の前に解散総選挙が行われている。これまでの衆院の平均任期は2年9か月なので、2年を過ぎれば、常在戦場だ。今の衆院議員は2016年12月で任期2年となる。

   中曽根政権(第1次は1982年~)以降を見ると、3年以上経過して解散した例が8回と多い。2年以上3年未満で解散したのは、1986年7月、2005年9月、2014年12月と3回しかない。ただし、この3回ともに与党の圧勝であった。これも早期解散の根拠となる。

   なにより、今は相手になる民進党が弱すぎる。今日(16年10月13日)の国会で、安倍晋三首相は、蓮舫・民進党代表の二重国籍問題について答弁した。同じく二重国籍だった自民党の小野田紀美参院議員が日本国籍選択を証明する戸籍謄本を公開した事を引き合いに出し、蓮舫氏も国民に証明の努力をすべきとした。蓮舫代表は公開を拒否しているからだ。

   この問題は、民進党にとって打撃である。もし蓮舫代表に二重国籍問題がなければ、小池氏が東京都知事になって行われる東京10区の衆院補選に、蓮舫氏が出馬していただろう。

   党代表でありながら参院議員であるのは、かなりのハンデである。蓮舫氏は参院議員であるので、衆院の代表質問では野田幹事長に委ねざるを得ない。蓮舫代表が野田氏を幹事長に指名した事に対しては、野田氏が増税論者で民主党政権転落の原因でもあるので、民進党内でも大不評であるが、東京10区の補選に蓮舫代表が出ていれば、民進党の勢いも違っていただろう。

日露首脳会談前に...

   東京10区も福岡6区も衆院補選は、今のところ与党圧勝の情勢である。福岡6区は自民党の分裂であるが、野党は足下にも及ばないようだ。二つの補選ともに、小池都知事が応援演説で入ると大勢の観衆が集まる。小池人気の凄まじさを見せつけられるが、同じ女性である蓮舫代表は、集める観衆の数で小池都知事に負けている。自民党勢は小池人気で野党候補を破ってしまうだろう。

   そうなると、次は、いつ衆院解散か、となる。一般的には、12月の日露首脳会談をへて、来(17)年1月解散となっている。このスケジュールはそれなりの確度があるが、「みんなが解散というときには解散なし」という言葉もある。

   奇抜なので、その可能性は少ないが、11月21日(先勝)に解散し、プーチン会談の前の12月11日(大安)に投開票というのも頭の体操としてある。

   12月15日に日露首脳会談であるが、その前に11月19-20日にペルーで開催されるAPECでプーチン大統領と会うので、帰国後解散という超裏技だ。もちろん、TPP法案をどうするかなど難問があるが、ちょうど2年前の2014年11月21日解散、12月14日投開票で衆院選が行われたときと同様な選挙日程であり、絶対に不可能とはいえない。

   それも、相手が蓮舫新代表率いる民進党では、安倍首相がいつ解散をしたくなっても、仕方ないだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、 いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。 著書に「さらば財務省!」(講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)、 「戦後経済史は嘘ばかり」 (PHP新書) など。


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