2024年 4月 28日 (日)

恋愛へのあこがれの復活? 自治体が婚活支援でしていること

   全国の都道府県が取り組む、独身男女の結婚を支援する事業が花盛りだ。

   内閣府の調べによると、企業などの「結婚支援」をサポートする事業に取り組んでいる都道府県は47都道府県のうち、東京都や沖縄県などを除くほとんどで実施している。結婚相談窓口を設置したり、「合コン」の開催を支援したりと、「婚活サイト」さながらのマッチングサービスを仕掛ける自治体もあるようだが、対象となる人たちのなかには・・・

  • 若者の結婚支援のため、国や自治体が「おせっかいさん」を育成している…
    若者の結婚支援のため、国や自治体が「おせっかいさん」を育成している…
  • 若者の結婚支援のため、国や自治体が「おせっかいさん」を育成している…

「いいなと思える異性を周りに増やす」

   少子化の進行を止めるため、結婚しない若者をどのように支援するかは、人口減少が著しい地方部を中心に大きな課題になっている。内閣府の子ども・子育て本部は、「現在、結婚支援窓口がない都道府県は東京都などごく一部になりました。市町村を含め、結婚支援事業はかなり広がっています」と話す。

   そうしたなか、2016年4月19日に内閣府が開いた「結婚応援のための全国フォーラム」(東京・永田町)が、今ごろになって話題になっている。

   このフォーラムは「結婚支援」事業について、福井県や愛媛県、長野県などの先進的な自治体の取組事例を学び、支援団体同士の連携を深めるのが狙いだが、そこでの基調講演「未婚化の背後にあるもの」で配布された資料に、最近の「結婚しない」事情について、「恋愛(結婚生活)へのあこがれの消失」があると指摘。若者の結婚を支援するため、「恋愛へのあこがれの復活」や「楽しく交際する人を応援する」「いいなと思える異性を周りに増やす」「未婚の異性が集まり、デートできる場所をつくる」などの課題をあげた。

   さらに、内閣府のホームページにはこの日登壇した先進的な自治体の代表者らがズラリと並んだ写真が公開されており、これらがあるツイッターユーザーの目にとまった。

   10月13日のツイッターに、「内閣府が少子化対策として行っている『結婚応援全国フォーラム』の写真みて、なんか違和感わき上がるのはなぜだろう」「相変わらずおっさんだらけというか...」などと投稿。17日には「政府の『結婚応援のための全国フォーラム』、写真のみならず資料もクラクラするのがてんこ盛りだった件」と、NAVERまとめが取り上げ、再び注目を集めた。

   インターネットには、内閣府ホームページの写真やフォーラムの資料を見たと思われる人から、

「見るだけで結婚欲が減退しそうでいいね」
「婚活はしたいと思うけど、こういうのには関わり合いになりたくねぇぇぇ」
「的外れのセクハラでしかない」
「『産めよ殖やせよ』時代の再来がここまであからさまとはなぁ...」
「このままじゃオレの年金ヤバイんじゃね?という発想から来てるんだろうなあ。ピントがずれている」

など、さんざんな言われようなのだ。

会社ぐるみの「縁結び」にはドン引きも

   なぜ、こうした反応になるのか――。

   内閣府や地方自治体が力を入れているのは、職場での「おせっかいさん」(ボランティア)の育成だ。

   先進的な事例の一つとして、先のフォーラムでも紹介されているのが福井県のケースで、「結婚応援企業」として協力企業を募っている。16年9月末時点で133社が登録。会社内に最低1人、「職場の縁結びさん」(おせっかい役)を置いてもらい、社内や企業間の「合コン」などの婚活パーティーやイベントを企画、開催するというもの。

   福井県の担当者は、「『職場の縁結びさん』は上司や先輩にあたる人になります。県はそういった縁結びさんのサポート役で、縁結びさんを集めて情報交換や研修会、交流会を開くことで企業間の橋渡しをしています」と話す。

   職場によって男性が多かったり、女性社員が多かったりするし、会社の規模や年齢構成によっても、なかなか「結婚」につながらないことは少なくない。「まずは若者にその気になってもらい、出会いの場を提供していくことからはじめてみました」という。

   昭和の高度経済成長期~1980年代ごろまでは、職場結婚が多くを占めるなど、学校や会社で「自然な出会い」があったし、お見合い写真を手にした会社の上司や近所の世話好きな女性が年頃の男性や女性を見つけては結婚相手を紹介していた。

   しかし、会社内での交流や飲み会が減ったこともあり、いまや、その「おせっかいさん」を国や地方自治体が旗振り役となって探し出して、育てようということらしい。

   ただ、会社の関係者にプライバシーの根幹である結婚までまとめさせようというあり方は、実際に結婚を考えている若い人たちにとっては、「ドン引き」する中身にも映るようだ。

   こうした反応に対して、内閣府は、「結婚という個人の問題を企業が支援することが難しいことは承知していますし、もちろん(結婚を)押しつけようということでもありません」と話したうえで、「ストップ少子化」のため、若者の新生活支援や住宅支援、長時間労働の是正など自治体や企業ができる支援策を考えていく必要があるとしている。

   また、福井県も「パワハラやセクハラと受けとめられかねないようにしていくには、ふだんのコミュニケーションが大事になってきます。その半面、変に遠慮しても前進しないと思うので、その点では『縁結びさん』に上手に入っていただけたらと思っていますし、期待したいところです」と話している。

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