2024年 5月 1日 (水)

逮捕の瞬間「ありがとう、助かった」 覚醒剤で壊れかけた女の本音トーク

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

子どもすら言い訳の材料にする

   だが薬物を続けるうちに、体にはさまざまな悪影響が出る。築地市場で7年働いてきた男性は、ある日包丁を持つ手が震え出し、「事実上のクビ」を宣告された。幻覚や幻聴に悩まされる人、禁断症状で、薬を求めて延々と外を走り回る人と、正常な状態ではないことが分かる。

   常習性も恐ろしい。

エリさん「1回吸ったら、多分やめられない」

   初めて覚醒剤を吸った瞬間が「人生で最もいい場面」と感じるほどの快感なのだと話す。だから、子どもがいるのに自制できなかったと明かす。しかも当時、離婚後に交際していた男性が薬物の「売人」だったため、自宅には薬物があふれていた。「子どもが泣いてもイライラしないように吸おう」「子どもの世話のため、覚醒剤を使えば寝ないで済む」と、子どもすら言い訳の材料にしていた。薬の効果が切れると、「インフルエンザの一番キツいときの感じ」、つまり高熱が出て布団から起き上がれないほど体調不良に陥る。そこから脱しようとして、また覚醒剤使用を繰り返す。そのうち、子どもを託児所に預けたまま忘れたり、家事がおろそかになったりと生活に支障が出た。

   そして23歳の時、ついに逮捕された。自宅に警察官がやって来た際、エリさんは意外にも「ありがとう」「助かった」という気持ちになったという。自力ではやめられない「覚醒剤地獄」から、ようやく抜け出せると感じたからだ。

   その後、薬物依存のリハビリ施設「ダルク」で2年間過ごし、現在は社会復帰して販売員として働いている。ダルクには、エリさんと同じように薬物中毒だった人が集まっていた。そこでは「なぜ薬物に手を出したのか」といったテーマで、体験談を話し合ったという。お互いが自らの話を口にすることで、気持ちが楽になっていくそうだ。

   さらにエリさんは、ダルクでボランティアをしていた男性と出会い、交際に発展した。ダルクを出て社会に戻るうえで、この男性が大きな心の支えとなった。何より「二度と薬物に手を出さない」と固く心に誓えたのも、薬物の誘惑にブレーキをかけられるのも、男性の存在のおかげだという。

1 2
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中