2019年 1月 21日 (月)

「ポケモンGO」も楽しいけれど... 認知症診断を目指すスマホゲーム登場

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   スマートフォン(スマホ)のオンライン・ゲームで脳の働きに関する詳しいデータを集め、認知症の進行を調べるなど脳の病気の早期診断に役立てよう――。こんな夢のようなプロジェクトが英国で進んでいる。

   ゲームの名前は「Sea Hero Quest」(海の英雄を探して)。3Dのコンピューター・ゲームで、氷山や氷塊が浮かぶ狭い水路を行くボートが、行く手にたちふさがる怪物と戦いながら目的地を目指すアドベンチャー・ゲーム。2016年5月に公開されたが、すでに240万ダウンロードを超え、英国のほか欧米各国で大人気になっている。

  • 「Sea Hero Quest」のイメージ
    「Sea Hero Quest」のイメージ

プログラムのアイデアは研究者が提供

   このゲームは英国のアルツハイマー研究財団がアルツハイマー病研究の基礎データを集めるため、専門家のアイデアをもとに英国のゲーム会社にプログラム開発を依頼した。資金を提供したのはドイツの通信会社ドイツテレコム。

   ゲームではまず船が進む進路を示す海図が示され、それを憶えたうえで、氷山や氷塊が浮かぶ水路を障害物にぶつからないよう、右に左にと舵を切りながら進んでいく。途中、いくつものチェックポイントを通過し、水路に出現して行く手をさえぎる海の怪物を打ち倒していかなければならない。

   プログラムのアイデアを提供した共同開発者のひとり、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの神経科学者、ヒューゴ・スパイアース博士は、「認知症になるとまず衰えてくるのは空間認識や方向感覚。それを早めに見いだすのにこのゲームは非常に有効なツール」と話す。

   このゲームに参加すると、0.5秒ごとに船の針路や位置が送り返され、自動的にデータが集まっていく仕組みだ。

1万年分近い研究データを集めることに成功

   すでに200万人以上のデータが集められ、通常の検査だと9400年分にあたる膨大なデータが蓄積されたという。わずか2分間のゲームで数時間分の検査に相当するデータが集まるという。参加者は無料でゲームが楽しめ、研究者は参加者が意識しないうちに、詳しいデータを集めることができるわけだ。

   英国の公共放送BBCはプロジェクトの研究者が今年の神経科学会議で、「19歳では74%の人がゲームで炎を浴びせる方向が正確だったのに、75歳では46%に低下するなど、年齢を重ねるにつれて能力が低下していたと報告した」、と伝えている。このほかにも、方向の認識では男性の方が女性よりわずかながら認識の精度が高い、健康な人の方が年をとっても空間認識能力を維持しやすい、などの傾向がわかってきたという。

   アルツハイマー病は世界的に患者が増加している。懸命の研究にもかかわらず、発症のメカニズムや治療法は不明で、病気の進行を遅らせるのに効果があるとされる薬が出ている段階だ。ゲームを通じて世界的なデータが蓄積されれば、アルツハイマー病だけでなく、認知症の早期診断もこれまでより簡単にできるようになる可能性もある。

   「Sea Hero Quest」はApp StoreやGoogle Playで、無料でダウンロードできる。

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