大谷翔平が2億7000万円の年俸を勝ち取った2016年12月5日、阪神の新人入団発表が行われた。金本知憲監督、勝負の2年目スタートを切った。この発表会見に金本監督が出席した。おめでたい席とあって、シーズン中にはない笑顔を見せた。「私の方がいい顔しているぞ」たとえば、こんなシーンである。1位指名の大山悠輔内野手(白鴎大)に絡めて、「監督と顔が似ていませんか」との声が報道陣から出た。金本「私の方がいい顔しているぞ」大山「負けていないと思います」会場は大きな笑いに包まれた。明るい雰囲気のなかで新しい戦力とともに金本監督は来シーズンへの決意を見せた。大山は、大学有数の長距離バッター、と評価は高い。4位に終わった今季は、大砲不在がその原因の一つになっている。それだけに金本監督は大きな期待を寄せた。フライの捕れないチーム今季の阪神は、何度か「草野球並み」と厳しくたたかれた。とりわけお粗末な守備は目を覆うばかりだった。NHKの番組で監督自らが語っている。「フライの捕れないチームはうちだけじゃないかな。よくポロリとやったからね。外野にフライが上がったらハラハラしたもの。安心だったのはライト(福留孝介)に飛んだときだけ」まだある。「野手が衝突するんだよ」打球はグラウンドに落ちる、というわけである。こんなシーンに打つ手がなかったという。「若手の起用」を目指して戦ったのだが、やはり経験不足はいかんともしがたく、勝敗の足を引っ張った。阪神はプライドの高いチームである。あの名将の野村克也監督でさえ意識改革は難しかった。最下位に低迷する結果でしかなかった。金本監督もさい配を振るって分かったことだろう。外国人選手を積極的に取り、さらにFAの糸井嘉男を獲得した。来年の成績によってはトラファンがキバをむく。金本監督の明るい笑顔がどう生きていくか。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)
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