2024年 4月 19日 (金)

買った薬のレシートはとっておこう 市販薬で医療費控除の新制度始まる

   「セルフメディケーション税制」(医療費控除の特例)が2017年1月1日から始まることはご存じだろうか? 「ええっ、聞いたことがないよ」という人が多いのではないだろうか。

   従来は医師が処方する薬にだけ適用された医療費控除を、一部の市販薬にまで広げて所得控除が受けられるようにするもの。年末の医療費控除の特例として、おカネが戻ってくるお得な制度だから、ぜひ、薬を買う時はレシート(領収証)をとっておこう。

  • セルフメディケーション税制共通識別マーク(画像データ提供:日本一般用医薬品連合会)
    セルフメディケーション税制共通識別マーク(画像データ提供:日本一般用医薬品連合会)
  • 買った薬のレシートはとっておこう(写真はイメージです)
    買った薬のレシートはとっておこう(写真はイメージです)
  • セルフメディケーション税制共通識別マーク(画像データ提供:日本一般用医薬品連合会)
  • 買った薬のレシートはとっておこう(写真はイメージです)

「セルフメディケーション税制」で得する方法は

   この制度は、国の財政を圧迫している高額な国民医療費を削減するために、軽度の症状は市販薬によって治療することを推進しようと厚生労働省が中心になって始める。製薬会社は市販薬の売り上げ促進が期待でき、薬局にとっても顧客の健康相談に乗る「かかりつけ薬局」の普及につながるため、厚生労働省、日本一般用医薬品連合会(製薬会社の業界団体)、日本薬剤師会などが、それぞれのウェブサイトで周知に努めている。

   それらのサイトによると、対象となるのは「OTC医薬品」と呼ばれる市販薬だ。「OTC」は「over the counter」(オーバー・ザ・カウンター)の略で、カウンター越しに処方箋(せん)なしで薬を販売する形に由来する。一般市販薬と同じ意味だが、特定の効力がある成分が含まれている必要がある。かぜ薬、胃腸薬、点鼻薬、点眼薬、睡眠薬、水虫薬、肩こり・腰痛・関節痛張り付き薬など、軽度の症状の改善に効力がある薬が中心だ。具体的には厚生労働省のウェブサイトに、2016年12月現在、約1600種の医薬品リストが掲載されている。

   例えば、武田薬品のウェブサイトを見ると、同社の薬では「ベンザブロックL」(かぜ薬)、「ビオフェルミン便秘薬」(便秘薬)、「ニコレット」(禁煙薬)、「マイティアアイテクト」(点眼薬)などが該当し、製薬各社とも有名な市販薬はかなり含まれる。「それではわかりにくい」と心配する人がいるだろうが、制度が始まる2017年1月1日からOTC医薬品の包装箱に「セルフメディケーション 税・控除対象」(写真)というマークが付くことになっている。

5万円薬を買って1万1400円戻ってくる

   ところで、どんな人が対象になるのか。あくまで「国民の健康の維持増進と病気予防のため」に市販薬を活用するという趣旨のため、定期的に健康診断を受けている人だ。具体的には次の5つのどれかを受診している人が対象だ。(1)特定健康診断(いわゆるメタボ健診)(2)予防接種(3)定期健康診断(会社など)(4)健康診断(市町村など)(5)がん検診など。

   対象となる「OTC医薬品」を年間1万2000円以上買うと、1万2000円を超えた部分の金額(上限金額:8万8000円)について所得控除を受けることができる。実際にはどのくらい得するのだろうか。日本一般用医薬品連合会のウェブサイトを見ると、課税対象額年収400万円の人が、OTC医薬品を1年間で5万円買った場合、所得税と住民税の控除を合わせて、1万1400円戻ってくる計算が紹介されている。

   ただし、この制度は「医療費控除の特例」のため、従来の医療費控除制度と同時に利用することができない。従来どおり、1年間に自己負担した医療費で10万円を超えた部分の金額の控除を受けるか、この税制で控除を受けた方が得かは、自分で選択することになる。

   いずれにしろ、どちらが得かなど、詳しくは厚生労働省のウェブサイト「セルフメディケーション税制について」を見るといいだろう。

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