2018年 10月 18日 (木)

読めますか?「陀羅尼助丸」 奈良で愛される腹痛薬の正体

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   「陀羅尼助丸」。読めるだろうか。答えは「だらにすけがん」。胃腸の不調時に服用する市販薬だ。

   奈良県の家庭では常備薬として普及しており、ツイッター上では、腹が痛いときには「マジで効く!」と評判だ。一方で、他の地域ではほとんど知られていない。実は途方もなく長い歴史を持つ薬なのだ。

  • 奈良県でよく知られる陀羅尼助丸(提供:藤井利三郎薬房)
    奈良県でよく知られる陀羅尼助丸(提供:藤井利三郎薬房)
  • 藤井利三郎薬房は陀羅尼助丸の老舗だ(提供:藤井利三郎薬房)
    藤井利三郎薬房は陀羅尼助丸の老舗だ(提供:藤井利三郎薬房)

「外出時に『マイだらに』を持って行く」

   陀羅尼助丸は、2017年1月24日放送のバラエティー番組「ちゃちゃ入れマンデー」(関西テレビ)で紹介され、たちまち注目を集めた。薬自体は陀羅尼助といい、飲みやすい丸薬にしたものを陀羅尼助丸と呼ぶ。

   番組では「奈良県ではお腹が痛くなると陀羅尼助丸を飲む」という「ご当地の常識」を扱い、腹痛時に飲む薬を聞いた番組の街頭インタビューでは、大阪は「正露丸」という声が多かったのに対し、奈良では「陀羅尼助丸」と即答する人ばかりだった。例えば、こんな声だ。

「昔から陀羅尼助」
「誰が何と言おうと陀羅尼助」
「外出時に『マイだらに』を持って行く」

   放送直後のツイッターでも、

「奈良県民なんで、もちろんあります。陀羅尼助丸」
「陀羅尼助丸はマジで効く! 苦いけど、それがたまらん」
「俺も陀羅尼助丸だなぁ」

と、服用している奈良県民のユーザーが続々と声をあげたほか、「うち京都やけど陀羅尼助丸やで」「ワイは兵庫県民だけど陀羅尼助派な模様」といった投稿も見つかった。一方で、「初めて知ったよ」というユーザーも多かった。

   一体どんな薬なのか。陀羅尼助を専門に製造販売する藤井利三郎薬房(本社・奈良県吉野郡吉野町)の藤井博文・代表取締役社長は、J-CASTヘルスケアの取材に対し「一言でいえば健胃・整腸薬です」と説明する。第3類医薬品として市販されており、効能・効果は食欲不振(食欲減退)、胃部・腹部膨満感、消化不良、胃弱、食べ過ぎ(過食)、飲み過ぎ(過飲)、胸やけ、もたれ(胃もたれ)、胸つかえ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔い・悪酔いのむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐、と幅広い。苦味は強いが、臭いはない。また、その歴史は古い。

「さまざまな薬の走りとされ、陀羅尼助からあらゆる薬が枝分かれしたと言われています。奈良県の吉野山・大峰山地域発祥で、一説によると発祥は1300年前にさかのぼります」

   単純に今から1300年前とすると、西暦717年。平城京遷都により奈良時代が始まったのが710年、東大寺の大仏が完成したのが752年だから、いかに昔からあるかが分かる。

目薬、湿布、絆創膏としても使われた「万能薬」

   陀羅尼助丸の主原料はキハダの樹皮を乾燥させた「オウバク」という生薬だ。民間伝承の形で地域独自に伝わってきた伝統薬で、「万能薬」として使われていた時代もあったという。

「昔は、水に溶かして目薬にしたり、抗炎症作用があるので湿布や液体絆創膏にしたりもしていたそうです」(藤井社長)

   陀羅尼助丸には、ちょっとした「驚き」もある。同社の製品の場合、1回で飲む量はなんと20錠で、他社では30錠という製品もあるというのだ。この理由を、藤井社長は「原料は伝統的な同じ生薬のみを使っており、化学薬品を使っていません。製法も昔から伝わる方法を続けており、最新の薬品のように、少ない粒に有効成分を凝縮することができないのです」と説明する。

   地元で普及し、近畿地方でもある程度知られていながら、全国的な知名度がほとんどないのも「地域に根差した伝統薬」という点が関係していると藤井社長は話す。ただ、「全国に卸していますので、東京をはじめ他地域の一部の薬局でも扱っていると思います」という。また、藤井利三郎薬房をはじめ陀羅尼助丸の各メーカーがECサイトでも販売している。

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