2024年 5月 8日 (水)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
安倍首相の表情、実はこう見られていた

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「トランプに対する嫌悪感」

   しばらくして、「こちらに目線をお願いします」と報道陣が日本語で声をかける。トランプ氏は意味がわからず、安倍氏に顔を近づけ、「彼らは、何って言ったんだい?」と尋ねた。

   安倍氏は満面の笑みでトランプ氏を見つめ、「Please. Look at me.(どうか。私を見てください)」と答える。

   「報道陣がそう言っている」という意味で伝えたつもりだった。が、「安倍氏がそう言っている」と理解したトランプ氏は、安倍氏をにっこり見つめ、握手し続けた。

   「プリーズ」のあとに少し間があり、安倍氏の表情や言い方からしても、トランプ氏が勘違いするのは不自然ではなかった。が、これに対しても、「そんなことが理解できないのか」とトランプ氏が批難された。

   誤解に気づいた安倍氏は、報道陣の方を見るように指さしたが、トランプ氏はその意味を理解せずに安倍氏を見つめ続ける。

   握手し終えた安倍氏は、椅子に座り直しながら、目をぐるりと回し、ため息を漏らしたような表情をした。

   自分が英語でうまく伝えなかったために、トランプ氏が勘違いしたことで、困惑し、「参ったな」と思ったかもしれない。長い間、笑顔で握手させられたことに、辟易したのかもしれない。あるいは、ただ単に視線をそらしただけかもしれない。

   しかし、米国では、安倍氏のあの表情を、「トランプの強引な握手に辟易していた証拠」、「トランプに対する嫌悪感が顔に出た」と受け止めた人が多く、ネット上でもトランプ批判の声が盛んに飛び交った。

「強く相手の手を引っ張る、威圧的な握手はとても失礼だ。まるで自分が優位に立って、安倍氏を見下しているようだ。他国の首脳とまともな挨拶もできないのか」
「安倍氏は腰を浮かして、今にも逃げようとしているではないか」

   「そもそも日本人は握手を好まないと、トランプに教える顧問もいないのか」などという極端な声まで聞かれた。

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