2018年 6月 19日 (火)

多摩川沿いランニングしただけでけが 「化学やけど」原因と正体に迫る

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   ランニングなどで河川敷を通行した人が、足の裏にやけどのようなけがを負ったという報告があり、神奈川県川崎市中原区の多摩川河川敷(丸子橋の上流500メートル付近)の一部で、2017年4月5日から閉鎖が続いている。

   国土交通省関東地方整備局は4月20日、けがの発生原因が当該エリアの舗装に含まれる石灰が水たまりとなり、靴から浸みこんだことで起きた「化学やけど」だったとウェブサイト上で発表した。すでに立ち入り禁止となっており、同日から対策工事に取り掛かっているという。

  • ランナーは足元に要注意(画像は事故現場、2017年4月23日撮影)
    ランナーは足元に要注意(画像は事故現場、2017年4月23日撮影)

化学物質を扱う工場や実験室での事故が多い

   同局京浜河川事務所の発表によるとけがの報告は10件ほどで、緊急河川敷道路という災害時の緊急道路として利用する河川敷そばの道路を通った人たちだったという。近所に住んでいる30代の女性は「多摩川マラソンなどでコースにもなっている道路で、いつもたくさんのランナーが走っている」とJ-CASTヘルスケアの取材に答えた。中原区内在住の40代の男性も、

「ゴルフの練習場やサッカーグラウンド、野球場まである広い河川敷なのでスポーツをしている子どもが多いですし、近くでバーベキューもしていたり、たくさんの人に利用されている河川敷ですよ」

   と話してくれた。けがを訴えた人たちも日常的にランニングコースにしている人たちだったのかもしれない。

   あまり聞きなれない「化学やけど(化学損傷とも)」。熱によるけがではなく、化学物質が付着することで皮膚や粘膜に損傷を負うことを指す。化学物質そのものによって細胞が破壊され皮がむけたり、化学反応による発熱で赤くはれたり水ぶくれができることもある。基本的には化学物質を扱う工場や実験室での事故が多いようだが、日本形成外科学会のウェブサイトには「家庭での化学薬品(消毒剤、漂白剤、洗浄剤、錆落しなど)の誤使用」も挙げられている。

   原因となるのは塩酸や硫酸といった酸性、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムといったアルカリ性の物質、ナトリウムや水銀といった金属化合物などさまざまだ。舗装工事を行う業者に取材を行ったところ、「舗装がはがれるのを防止するためなどで石灰を使用するのは一般的」と回答し、こう続けた。

「石灰は水酸化カルシウムなどを含むので、危険物という認識は工事関係者ならあるはずで、歩行者に危険が及ぶほど使用することは普通ありません。計量時に間違えたか、舗装用ではない地盤の安定用に使う量の多い石灰を使ってしまったのかもしれません」

   確かに京浜河川事務所の発表でも、舗装工事で使用する材料を取り違え舗装に含まれる石灰の量が過大となり、雨が降ったことで溶け出して強アルカリ性の水溜まりとなったとある。

水で洗い流すのが最良の中和方法

   病気ではないため予防法と言えるものはないが、もし化学物質が付着してしまった場合はどう対処すればよいのか。形成外科学会のウェブサイトに掲載された「化学熱傷の治療」では、損傷した部位を大量の水道水で1時間以上洗浄して原因物質を洗い流すことが重要とし、「大量の水道水に勝る中和剤はないと考えてよい」とまで書かれている。

   アルカリ性の物質の場合、酸性よりも皮膚などの損傷が激しくなるため長めに洗浄したほうがよく、損傷範囲が広い場合は体温程度の温水シャワーをかけるべきだという。

   ただし洗い流しきったように見えても皮膚の奥深くへ損傷が進行することが多く、場合によっては眼にも化学物質が飛び散っていたり、吸い込むことによる気道の損傷、飲み込むことによる消化管の損傷といった症状も考えられるため、速やかに医療機関を受診するようすすめている。

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