2024年 4月 19日 (金)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「共謀罪」を統計学の視点でみると... トレードオフ理解し極論は避けよ

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   組織犯罪処罰法改正案が2017年5月23日に衆院を通過し、参院に送られた。同法案で新設される「組織的な犯罪の共謀」が、いわゆる共謀罪である。自民、公明、維新は、法案の一部を維新による提案(取り調べの可視化やGPS捜査の制度化への検討)によって修正したので賛成の立場である。一方、民進、共産などは強硬に反対している。

   共謀というのは英語で「conspiracy」と言うくらいであるので、海外にも存在する概念である。それを罰する法制度があるのが通例だ。ところが、日本ではなかったので創ろう、というのがそもそもの発端だ。ただし、日本では初めてなので過去の政権が手こずった難問だ。

  • 「共謀罪」を統計学の視点でみると…
    「共謀罪」を統計学の視点でみると…
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「あわてんぼうの誤り」と「ぼんやりの誤り」

   反対派の言い分は、「一般人が対象になり得る」「警察などの捜査権限が拡大し、公権力による監視が強まる」という。一方、賛成派は「そうした懸念はわかるので、その弊害を少なくして、海外並に共謀を罰する法制度を創ろう」という主張である。

   この両者の言い分を聞いていて、筆者は統計学の有名な話を思い出した。「第一種の過誤」と「第二種の過誤」である。

   ここで、統計学の小難しい話をしても無駄なので、共謀罪に即して考えてみよう。「第一種の過誤」とは、一般人を冤罪逮捕するミスである。これは、「あわてんぼうの誤り」ともいわれている。警察が何か証拠をつかんで、あわてて逮捕してみたら、犯罪に無関係な人だったというわけだ。

   「第二種の過誤」とは、テロリストを取り逃すというミスだ。これは、「ぼんやりの誤り」といい、警察がうかつにもテロリストを見逃してしまうのだ。

   刑法では、刑事訴訟法336条「被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない」と、「疑わしきは罰せず」の原則がある。これは、「第一種の過誤」、つまり「あわてんぼうの誤り」をしないように戒めている。

   しかし、最近ではテロ事件も世界各国で多く、「第二種の過誤」つまり「ぼんやりの誤り」も無視できず、重要になっている。

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