難病ALSに治療薬候補 iPS細胞使い発見

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   随意運動を調整する神経が死滅し、全身の筋肉が低下して動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」について、京都大学の研究グループは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)で神経細胞を再現し、細胞死を抑える薬を発見したと明らかにした。

   同大iPS細胞研究所の井上治久教授(神経内科)らが2017年4月24 日付で、米医学誌Science Translational Medicine(サイエンス・トランスレーショナル・メディスン)で発表したもの。ALSは指定難病で根本的な治療法が見つかっていない。

  • 京大グループのALS治療薬候補発見の論文を掲載したScience Translational Medicineのウェブサイト
    京大グループのALS治療薬候補発見の論文を掲載したScience Translational Medicineのウェブサイト

京大研究グループ、米医学誌に成果発表

   井上教授らは、ALS患者の皮膚からつくったiPS細胞を使い運動神経細胞を再現。白血病の治療薬が細胞死を抑制する効果を持つことを突き止めた。マウスの実験で確認した。

   ALSは脳が筋肉に指令を伝える神経細胞「運動ニューロン」が変性し消失して発症する。再現したALS患者の運動神経細胞を分析すると、健康な人と比べ、異常なたんぱく質が蓄積し、細胞死しやすいことが分かった。

   そしてこの再現した神経細胞を使い、細胞死を抑える薬を見つけるため1416種類の化合物を調べ、このうち27種類で細胞死を抑制する効果を確認。さらにそのうちから、慢性骨髄性白血病の治療薬である「ボスチニブ」が、細胞が持つ細胞内のたんぱく質を分解するための仕組みの一つ「オートファジー(自食)」を促進し、異常なたんぱく質を減らすことを確認した。

   ALSのマウスにボスチニブを投与して効果を観察したところ、発症を遅らせ生存期間が延長した。

国内約9000人の患者、5%が家族性

   ALSでは、運動神経の細胞死が脊髄で起き、進行すると呼吸も困難になる。国内には約9000人患者がいるとされ、患者の約5%は血縁関係に患者がいる家族性ALS。家族内発症の一部では遺伝子異常が見つかっている。今回の研究では家族性ALS患者の皮膚から作ったiPS細胞が使われた。

   ALSは50代での発症が多く、手足に力が入らなくなり筋肉がやせてくる。力が入らない症状は徐々に全身に広がり、口やのどの筋肉に及ぶとうまくしゃべれなくなる。原因についてはいくつかの学説があるがはっきりしていない。

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