2024年 5月 3日 (金)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
NYの「例外」スタテン島に行ってみた(続)

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「皆、彼を嫌っている。君に話しても無駄だ」

   住宅地に一軒だけ、ミニスーパーが見つかった。日本のコンビニ程度の広さだ。中から出てきた70代くらいの男性に声をかけ、トランプ氏について意見を求めてもよいかと尋ねた。

「I'm all for him. That's enough. I don't want to talk about it.(彼を全面的に支持している。それで十分だ。あとは話したくない)」

と言い捨て、去っていった。

   私はそれまでもニューヨークでさまざまな人に同じ質問をしてきたが、オープンでフレンドリーな対応をする人が多かった。それに慣れていた私は、男性の反応に違和感を覚えた。

メインストリートを曲がると、60代くらいの男性が家の表庭で、落ち葉をかき集めていた。

   「Hi.」と笑顔で声をかけると、「Hi.」と笑顔を返す。ひと言ふた言、言葉を交わしてから、トランプ大統領について意見を聞かせてもらえないかと尋ねた。

   それまでの態度が一変し、男性は「No, thank you.(いや、結構だ)」と答えて背を向けた。

   私は笑顔のまま、ちょっと残念そうに、「Why?(なぜでしょう?)」と問い、「トランプ大統領を支持しない人の声も、支持する人の声も、どちらも中立な立場に立って日本の人たちに紹介できたら、と思っているんです」と説明した。

   会話ではただ「トランプ」と言うことも多いが、「大統領」という言葉を忘れずに添えた。

彼は私の思いを少しわかってくれたのか、言葉を返した。

「Nobody wants to give him a chance.(誰も彼にチャンスを与えようとしない)。皆、彼を嫌っている。君に話しても無駄だ」

私は「お気持ちはよくわかります」と答えた。そして、反トランプ派の集会に何度も足を運んだ時、十分な知識を持たずに頭から反対し、支持派を激しく攻撃する一部の反対派の態度に疑問を感じたことがある、と正直な気持ちを話した。

   「反対デモに参加するのは、何もわかっていない学生も多いんだ」と男性が言った。

   その時、家のドアの向こうに人の姿が見え、男性がその人を呼んだ。

   男性の妻だと紹介された。「政治に関しては、妻の方が熱心だからね」。

   それから2人は、時に声を立てて笑いながら、トランプ氏への思いをざっくばらんに話してくれた。

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