2024年 3月 28日 (木)

ゆうちょ銀の無担保融資に「OK」 消えぬ「消費者ローンへの参入」批判

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   日本郵政グループのゆうちょ銀行は、認可を申請していた「口座貸越による貸付業務」などの新規業務について、金融庁長官と総務大臣から、2017年6月19日に認可を得た。

   ゆうちょ銀行が無担保融資を手がけるのは初めて。集めた貯金の多くを国債や株式などで運用している同行にとって、日本銀行のマイナス金利政策による超低金利は収益悪化に直結する。新たな資金運用先として、「突破口」を開いた。

  • ゆうちょ銀行の無担保融資は「カードローン」ではない?
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ゆうちょ銀行「カードローンではない」

   無担保融資(口座貸越による貸付業務)の対象は、ゆうちょ銀行に通常貯金の口座を有する個人。あらかじめ最大50万円(契約1年目は原則30万円程度を想定)の貸付極度額を定め、貯金残高が足りない場合でも自動的に融資することで、ATMで現金を引き出したり、公共料金や買い物代金を貯金口座から引き落としたりできる仕組み。同行は、「お客さまへの利便性の向上が目的です」と説明する。

   これまで、ゆうちょ銀行の融資業務は、定期貯金を担保にした貸し出しに限定されていた(銀行などの総合口座と同じ仕組みで、定期貯金金額の90%を融資する)。すでに、通常貯金に定期貯金担保融資がセットされている場合は、そこから貸し出していく。

   現在、銀行や信用金庫でも同じ仕組みの融資を取り扱っていて、ゆうちょ銀行は2019年度末までに開始したい考えだ。

   一方、ゆうちょ銀行の無担保融資の参入に、銀行などは反発。なかでも、信用金庫は地域が限られ、ゆうちょ銀行との競合が最も激しく、影響を受けやすいこともあり、執拗に抵抗する。

   郵政民営化委員会が新規業務に関する意見を公表した6月14日、全国信用金庫協会は、民間金融機関との「公正な競争条件」が確保されない状況が続いていること、また、ゆうちょ銀行の「口座貸越による貸付業務」が、すでに民間金融機関が取り扱っている「カードローンとほぼ同等の機能を有しており、すでに市場が飽和気味である消費者ローンへの参入であること」を理由に、反対を表明した。

   たしかに、ゆうちょ銀行の無担保融資で、ATMからお金を借りる(現金を引き出す)ときに使うカードはキャッシュカードだが、その利用方法は「カードローン」と変わらない。銀行などのキャッシュカードには、カードローンやクレジットカード機能が搭載されている1枚化カードもあり、「カードローン」との違いは、貯金者にはわかりづらい。

   ゆうちょ銀行は、無担保融資とカードローンとの違いを、「まず、通常貯金を持っているお客さまが対象です。カードローンは口座がなくてもつくれますから、この点が違います。さらに、貸付極度額が最大50万円と低いことがあります。カードローンは高額な極度額で繰り返して引き出せます」と説明する。

   同行は、新規契約件数で年間30万件、業務開始後の5年間で150万件、約880億円の残高を想定している。

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